![]() 『ローテーションから見る、求められる適性』 函館の最終週に行われる2歳戦ということで、ローテーションにも気を遣う必要があるレースです。 そういう意味では、先週の小倉記念のように特定の系統を買うだけで当たるレースは貴重です。 理屈はシンプルであればあるだけいいものです。 このレースの特性上、ローテーション(前走)は大きく4つに分類できます。 1. 函館芝1200or1000m組(新馬・未勝利) 2. ラベンダー賞組 3. 他場芝組 4. ダート組 ************************************************* 1. 函館芝1200or1000m組(新馬・未勝利) 当然最も出走数が多いグループですが、前走の時期がこのレースの結果に大きく関わっています。 それを見る前に、年によってAコース→Bコースの移行時期が違うので区別します。(以下第1・2回開催通しで1-8週と表記します) 01年~03年 1-5週(A) 6-8週(B) 04年~08年 1-4週(A) 5-8週(B) 10年 1-5週(A) 6-8週(B) 今年は01年~03年と同じですが、1分11秒台と時計がかかりやすかった当時と比べ、近年は1分10秒台の決着が多くなっており、加えて今年の馬場の良さを併せ考えると、直近の成績を重視したほうがいいと判断し、04年~08年のデータをもとに分析します。 <前走時期による函館2歳S成績と前走勝ち時計> ・1-3週 0-0-1-10 05年 3着 アドマイヤカリブ(1人気) 1分9秒9 05年 11着 チアズガディス(2人気) 0分57秒8(1000m) 06年 14着 エーシンダームスン(1人気) 1分10秒7 07年 6着 エイブルベガ(1人気) 1分11秒1 08年 14着 ディーズハイビガー(3人気) 1分11秒8 ・4週 3-2-1-1 04年 1着 アンブロワーズ(6人気) 0分59秒9(1000m) 04年 2着 ディープサマー(1人気) 1分13秒4(稍重) 06年 1着 ニシノチャーミー(7人気) 1分12秒0 07年 2着 ジョイフルスマイル(11人気) 1分11秒6 07年 3着 イイデケンシン(2人気) 1分11秒1 08年 1着 フィフスペトル(2人気) 1分11秒8 コース変わり(A→B) ・5-6週 0-0-0-10 04年 9着 グランプリペガサス(2人気) 1分11秒8 06年 9着 ゼットカーク(3人気) 1分11秒2 ・7週 0-1-1-1 04年 3着 カシマフラワー(8人気) 1分10秒8(2着馬に1秒6差) 05年 2着 ラッシュライフ(5人気) 1分11秒8 4週と7週に勝ち上がった組の成績が抜けて良く、合計で3-3-2-2です。 一方、1-3週と5-6週に勝ち上がった組は合計で0-0-1-20と散々で、3着も1人気によるものです。 この違いは何に起因するのでしょうか。 基本的に、1-3週は速い時計が出やすい時期です。 逆に4週はAコース最終週ということで、時計がかかります。 そして5-6週はコース変わりにより、再び時計が出やすくなる戻しがおこります。 7週になると連続開催のオーラス前ということで、再び時計がかかり出します。 もちろん降雨などの影響で、年によって差はありますが、基本的にはこの流れになると見ていいと思います。 実際上記のように、4週・7週組の勝ち時計はかかっており、1-3週と5-6週、とくに1-3週組の時計が速いです。 つまり、このレースは持ち時計がほとんど意味を成さず、むしろ時計があるほうがマイナスになるとさえいえます。 もちろん連続開催の最終週に行われるレースということで、こうした考え方は多くの方が持っているとは思います。 それでも着差が同じなら、時計の速いほうが売れる傾向はどうしてもあるようです。 函館2歳Sは、重賞ということでテンのペースが速くなり、加えて馬場の悪化によって上がりがかかるレースになりやすいです。 4週・7週組はそのような前傾ラップに近いものを経験した強みがあります。 対してとくに1-3週組は、馬場がいい状態で競馬をしているので、ラストにスタミナが求められるレースの経験がありません。 こうした違いは、この時期の経験の浅い2歳馬には大きいです。 たとえ血統が合っていたとしても、この経験がない馬は割り引きだと思います。 このレースは前走で逃げた馬(3~4角先頭)の成績が悪いというのは、割とよく言われているようですが、これは上記と関連性があると考えます。 人気で敗退した、チアズガディス・ゼットカーク・エイブルベガ・ディーズハイビガーは前走逃げ切り勝ちでした。 これらは時計の出やすい週の出走で、いわゆるスピードだけで押し切った馬達といえます。 こういったタイプは特にこのレースでは危険馬になります。 対して、同じ前走逃げ切り勝ちでも、馬券になったディープサマー・ラッシュライフの2頭は、時計のかかる週に出走していました。 以上より、今年のこの路線の出走馬を前走時期で分類します。 今年は1-5週(A) 6-8週(B)と、上記データとは1週ズレがあるので注意が必要です。 1-3週は好天にも恵まれ、速い馬場で問題ありません。 4週は雨の影響を受け、時計を大きく要しました。 5週はAコース最終週で、かつ前週の影響もあり、時計を要しました。 6週はBコース変わりで時計が大幅に速くなり、ラベンダー賞でレコードタイム、函館記念も例年にない58秒台の決着になりました。 7週(先週)は、例年よりはいいものの、それでも時計はかかり出している印象です。 以上より、今年の狙い目エリアは5週・7週・4週に勝ち上がった馬、とみます。 そして、危険エリアは1-3週・6週とします。 ・狙い目エリア 5週 テイエムシャトウ 1分12秒4 5週 トラストワン 1分11秒8 4週 ドリームバロン 1分13秒3 ・危険エリア 1週 ルリニガナ 0分57秒8(1000m) 1週 マジカルポケット 1分11秒4 6週 エーシンジャッカル 1分10秒4 ある程度人気を集めそうな3頭が危険エリアに、人気があまりなさそうな3頭が狙い目エリアと、いい感じに分かれています。 狙い目エリアから、血統も合う馬を買いたいですね。 ************************************************* 2. ラベンダー賞組 6週施行で馬場はまだいい部類の時期のレースですが、オープン競走ということもあり、厳しい前傾ラップになりやすいレースです。 よって、1の組の時計のかかる週に勝ちあがった馬達と、同等の経験を得られることもあると考えます。 たとえば、1週の新馬戦を勝ち上がったローレルゲレイロ(5人2着;06年)も、このレースを挟んだ(3着)ことで、厳しいラップを経験することができ、危険エリアから逃れることができました。 ナムラミーティア(1人2着;08年)は、このレースを挟みましたが(1着)、そもそも狙い目エリアの4週の未勝利戦を勝ち上がっていました。 他で馬券になっているのは、フラワーサークル・モエレジーニアス・ハートオブクィーンの地方出身馬で、このレースでいい経験をしていました。 今年は上でもふれましたが、Bコース変わり当週となり、かなり時計が出やすい馬場でした。 前傾ラップではあるものの、例年ほどラストの落ち込みが少なくなっています。 よってこの組については、過去の傾向はあまり当てはまらない可能性があります。 2着のマイネショコラーデは、その経験が出来たかは判然とせず、レコードが出るレースを好走(?)してしまったとさえいえるかもしれません。 過去この組からは1-3着馬からしか、2歳Sでは馬券圏内に入れていません。 ただ今年のレース内容を考えると、スピード負けしたタイセイファントム(4着)は、可能性があるかもしれません。 ************************************************* 3. 他場芝組 この組はそもそも出走数自体が少ないですが、唯一馬券になったアイアンデューク(5人3着;08年)は、福島の最終週の芝1200mを勝っての参戦でした。 ここでも時計のかかる芝を経験しているかが、鍵になりそうです。 今年の出走馬では、この組はコットンフィールドのみです。 福島の開幕週の芝1200mを逃げ切ったもので、スピード競馬しか経験がなく、厳しいレースになりそうです。 ************************************************* 4. ダート組 ダートの短距離は、このレースのように前傾で上がりがかかるレースになりやすく、そういう意味では可能性がある組といえます。 事実、ダートっぽい血統がこのレースではよく馬券になっています。 この組から唯一連対したトーホウアスカ(6人2着;02年)は、阪神ダート1200mの前傾ラップを勝っての参戦でした。 ただ、函館ダート1000m組は0-0-1-16で、唯一馬券になったヘルスウォール(6人3着;01年)は、初戦で芝を使った経験がありました。 今年のこの組は、ディアマンボウ・アポロジェニー・イーグルカザン・ラッシュウインドの4頭です。 レース内容などからはパッとした馬はおらず、血統が合えばという感じです。 『前傾ラップでラストの踏ん張りが効く血統』 さて、これだけ終わると血統ブログではなくなってしまうので、血統にもふれていきましょう。 1.父サンデーサイレンス(SS)系が弱い 1-0-0-13と、馬券圏内はフィーユドゥレーヴ(2人1着;03年)のみです。 2.サンデーサイレンス(SS)系を介さないヘイロー(HL)系が強い 父か母父にこの系統を持つ馬が、1-2-1-2です。 04年 2着 ディープサマー(1人気) 父 06年 3着 シャルトリューズ(8人気) 父 07年 1着 ハートオブクィーン(6人気) 父 07年 2着 ジョイフルスマイル(11人気) 母父 07年 4着 ホウザン(10人気) 父 3.ニジンスキー(NJ)系・リファール(LP)系・ダンチヒ(DZ)系がよい 人気敗退もありますが、複数好走が出ていて目立ちます。 ・ニジンスキー(NJ)系 03年 2着 フラワーサークル(3人気) 母父 04年 2着 ディープサマー(1人気) 父母父 05年 1着 モエレジーニアス(3人気) 父 05年 2着 ラッシュライフ(5人気) 母母父 06年 2着 ローレルゲレイロ(5人気) 母父 07年 4着 ホウザン(10人気) 4×5クロス 08年 1着 フィフスペトル(2人気) 4×4クロス 08年 2着 ナムラミーティア(1人気) 母父 ・リファール(LP)系 06年 2着 ローレルゲレイロ(5人気) 父 06年 3着 シャルトリューズ(8人気) 母父 ・ダンチヒ(DZ)系 01年 2着 スターエルドラード(1人気) 父 02年 2着 トーホウアスカ(6人気) 父 05年 2着 ラッシュライフ(5人気) 母父 05年 4着 アイアムエンジェル(10人気) 母父 1・3はハイペースで上がりのかかる年のスプリンターズに似た特徴を感じます。 昨年の同レースでは、サンデーサイレンス(SS)系を軽視し、3の3つの系統を重視することができました。 最後のひと踏ん張りに耐えうるスタミナを持ち、洋芝適性もあるということで、欧州型ノーザンダンサー(ND)系の中では似たタイプの系統だと思っています。 2に関しては、ダート要素プラス洋芝適性が問われていることの証明だと思います。 <注目馬> ・テイエムシャトウ (タイキシャトル×ダンシングブレーヴ) 狙い目エリアの5週の芝1200m戦を勝ち上がりました。 父タイキシャトルはヘイロー(HL)系×ニジンスキー(NJ)系で、母父ダンシングブレーヴはリファール(LP)系です。 タイキシャトル自体も上がりがかかった98年のスプリンターズSで3着、産駒のメイショウボーラーも上がりがかかった06年のスプリンターズSで2着しています。 ・トラストワン (マイネルラヴ×デヒア) 狙い目エリアの5週の芝1200m戦を勝ち上がりました。 父母父がリファール(LP)系、母母父がニジンスキー(NJ)系です。 マイネルラヴ自身も上記98年のスプリンターズSの勝ち馬です。 先週の馬場傾向にも合います。 ・ドリームバロン (アドマイヤコジーン×Theatrical) 狙い目エリアの4週の芝1200m戦を勝ち上がりました。 血統的にはそれほど強調できませんが、父アドマイヤコジーンの産駒であるアストンマーチャンが、上がりがかかった07年のスプリンターズSを制しています。 ・タイセイファントム (ファンタスティックライト×Boundary) 母父がダンチヒ(DZ)系、父母父がニジンスキー(NJ)系です。 ・ディアマンボウ (サウスヴィグラス×タイキシャトル) 函館ダート1000mを勝ち上がりました。 母父がタイキシャトルで、母系にニジンスキー(NJ)系の4×4のクロスが出来ます。 ************************************************* <危険馬> ・エーシンジャッカル (フジキセキ×アフリート) 非常に時計が速かった、危険エリアの6週の芝1200m戦を勝ち上がりました。 不振の父サンデーサイレンス(SS)系でもあり、人気を集めるようなら軽視で妙味が出そうです。 ・マジカルポケット (ジャングルポケット×Danzig) 危険エリアの1週の芝1200m戦を逃げ切りで勝ち上がりました。 母父ダンチヒ(DZ)系ですが、ジャングルポケットがこの条件で走るイメージがあまり湧きません。 対戦比較で人気を集めるようなら、軽視が面白いと思います。 ・ルリニガナ (スニッツェル×Kingmambo) 危険エリアの1週の芝1000m戦を、好タイムで勝ち上がりました。 ローテーション・レース振りからは危険なタイプです。 父ダンチヒ(DZ)系で、血統的には向きそうなのでどうかですが。 ************************************************* <??馬> ・マイネショコラーデ (ロージズインメイ×マイネルラヴ) 父がヘイロー(HL)系で、母父がマイネルラヴと、血統的には合うと思います。 ただ今年のラベンダー賞のレコード決着をどう見るかですね。 1人気(?)が予想されることもあり、評価が難しいです。 血統以外のことをやると、慣れなくて疲れますね。 でもこういったローテーションのデータとしては、かなりキレイに出ていると思います。 今年は馬場がいい分、最終週でもあまり時計がかからない、というまさかのオチもあるかもしれません。 まあそれでも、たとえ小さくとも、タイム的なギャップは出ると思いたいです。 雨が降れば時計がかかることは間違い無さそうですが。 土曜の時計の出方に要注意ですね。 |
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