過去に行なわれた【セントライト記念】の血統データから血統傾向を見ていきます。
過去のセントライト記念の血統データ(9年分)

セントライト記念は中山T2200mで施行されますが、先週の京成杯AHと同じく、外回りコースを使用します。外回りコースは3コーナーといえる部分がなく、2コーナーの頂点から4コーナーへ向けてなだらかな弧を描いているため、ロングスパートが必要とされ、ラップはおよそ次のようになります。(「ロングスパート」の概念が伝わりやすい07年と06年のものを掲載しました)
07年;12.0 10.7 11.6 12.1
12.7 12.7 12.4 12.2 11.8 11.9 11.906年;12.0 11.6 11.9 12.2
12.5 12.4 12.2 12.0 12.0 11.6 12.7赤字のところが2コーナーの頂点にあたる残り1400-1200m区間で、
青字の部分が残り1200m~ゴールまでですが、最も遅くなる赤字地点から、徐々にピッチが上がってレースが動き出している(ロングスパート)のがわかると思います。この点が、3歳牡馬重賞でこの時期までに中山で施行される、皐月賞をはじめとする2000m等の内回りコースの重賞とは異なるところです。
一般に、クラシック路線のレースが施行される東京・京都・阪神の大きな競馬場と中山の内回りコースでは、中盤にタメをつくれる箇所があり、残り3F~2F区間の瞬発力勝負が多くなりがちです。そうしたレースで上位に食い込めず、クラシック路線に乗れなかった馬の中で、12.0秒前後のラップを後半ずっと持続し、勝負どころで他馬よりちょっとだけいい脚を使えるポテンシャルを持った馬が激走するレースです。
注目血統を見る前に、その「ポテンシャル」を探り当てる考察をしておきます。
1;ラジオNIKKEI賞(福島)好走馬
2回福島の第3週に施行されるこの重賞は、クラシック世代にとって最もタフさを強いる条件です。2回福島開催は梅雨時かつ夏の馬場育成期間直前であるためとにかく馬場が悪く、また、ローカルの小回りのためロングスパートが求められます。この重賞の当ブログの展望ポイントでも、「
地味系サンデー」と推奨し、◎サニーサンデーが13人気2着と激走してくれましたが、ラジオNIKKEI賞に「一流のキレ」は必要なく、それと同じことがセントライト記念にも言えます。
近3年の該当馬です。
06年トウショウシロッコ;ラジオ1人4着 → 新潟条件戦を挟み → セントライト4人2着
07年ロックドゥカンブ;ラジオ1人1着 → セントライト1人1着
07年スクリーンヒーロー;ラジオ14人2着 → セントライト14人3着
08年ノットアローン;ラジオ6人2着 → セントライト5人3着
今年は、馬券になった馬はいませんが、0.3秒差5着と好走した
ミッキーペトラがいます。
2;新潟の古馬混合条件戦で善戦する馬
春にクラシック路線に乗れなかった馬たちは、夏に賞金を加算しようと古馬混合の条件戦に出走します。新潟コースは直線が長く平坦ですが、キレすぎても最後に止まってしまうし、瞬発力に劣る馬は勝負どころでついていけないというなかなか厄介なコースです。「勝負どころで勝負に出ることができる一定の瞬発力と、スピードの持続力、これを併せ持つ馬」が新潟コースを攻略できるのですが、この特性を示した「新潟の古馬混合条件戦で善戦する馬」が、より持続力の問われるセントライト記念のロングスパートで適性を開花させるのです。この場合、2着以下に負けた馬も十分に当重賞で勝負になるため、新聞の紙面上フィルターになって人気になりにくい利点があります。
近3年の該当馬
06年トーセンシャナオー;新潟T2200m(500万下)2人2着 → セントライト12人1着
06年トウショウシロッコ;新潟T2000m(1600万下)2人2着→ セントライト4人2着
08年ダイワワイルドボア;新潟T2200m(1000万下特別)5人3着、3人3着→ セントライト9人1着
今年の該当馬には、
セイクリッドバレー・トウショウデザート・ヒカルマイステージ・フォゲッタブルがいます。
3;ダービー最先着馬
ダービーで最先着ですから、当然この世代で上位の実力の持ち主であり、当然といえば当然です。ただ、3歳牡馬重賞の中でも、ダービーだけはペースの上がるタイミングが早くロングスパート的要素が強くなる年が多いです。そうしたタフな展開で上位にきたということは、セントライトでも好走できる下地があります。
今年は、
ナカヤマフェスタが該当します。
では、血統面からの考察をいたします。
「なんちゃって
瞬発型サンデー(SS)系」
SS系は一般に瞬発力に優れたタイプが多いですが、中にはSS系であってもスピードの持続力を武器にするタイプもいます。SS直仔の、96年1,2着馬
ローゼンカバリー・サクラケイザンオー、99年1着馬
ブラックタキシードなどはみな種牡馬となっていますが、芝の上級条件で活躍できるような産駒は出せていません(これをもって一流のキレはないと判断します)。00年1着
アドマイヤボスはアイアンルックを出しましたが、
アドマイヤベガの全兄弟ですから、種牡馬としては明らかに持続力型サンデー系に属します。
近年ではキングストレイル、トーセンシャナオーが人気薄で快勝しましたが、この2頭はいずれも
ノーザンテースト(NT)の血を同時に持っており、例の「
SSと
NTを同時に持つタイプは持続力型になりやすい」というやつです。
SS系で、バリバリの瞬発力タイプに思わせておいて、あれ?思ったよりキレないなというタイプがセントライト記念には最適なのです。
昨年の1,3着馬は
アグネスタキオン産駒でしたが、この2頭もこのタイプでしょう。とりあえず、未勝利や条件戦でもたもたしてクラシック路線にのらなかったSS系はおよそこのタイプの可能性があります。ただ、挙げるときりがないので、字面上瞬発力が明らかにありそうなアグネスタキオン産駒の2頭、
アドマイヤメジャーと
ヒカルマイステージをピックアップしておきます。前者は昨年14人6着馬と同配合です。後者は、8戦して3着以内7度(でもまだ2勝)というモタモタ感がたまらないですね。いいと思います。
「
シルヴァーホーク(SH)系」
今年は出走馬がいないので多くを語りませんが、過去3頭出走し、11人3着、5人1着、14人3着と完璧な成績です。
持続型SS系を中心とする
ターントゥ(TT)系が席巻する当重賞ですが、TT系に属する
ロベルト(RO)系の中なら、ブライアンズタイムの系譜よりも、持続力に優れた
シルヴァーホーク(SH)の系ということでしょう。SH系の代表種牡馬は
グラスワンダーですが、その産駒のオースミグラスワンやサクラメガワンダーのレースぶりが最もSH系の特徴を表していると思います。来年の出走に期待しましょう。
「
キングマンボ(KG)系と
サンデー(SS)系配合」
該当馬は過去2頭、06年に9人3着、08年に14人6着しています。該当馬は
アドマイヤメジャー・ゴールデンチケットです。前者は人気ですから特にコメントいたしません。後者ゴールデンチケットはダートの重賞で活躍しており、平均ペースに強く、セントライト記念のロングスパートも向くでしょう。毎日杯で2着していますが、このときよりパフォーマンスを上げる可能性が高いです。皐月賞とダービーの双方を経験しているのは当馬と
ナカヤマフェスタだけで、4角先頭の横綱相撲をしても押し切れるポテンシャルを秘めます。
「相性の悪い
グレイソヴリン(GS)系」
過去0-0-0-15、人気の敗退も2頭あります。今年はGS系そのものはいませんが、GS系の特徴を主張する
タニノギムレット産駒セイクリッドバレーはどうでしょうか。ただ、この馬のレースぶりを見る限り、中山T2200mは向く条件だと思うので、消し馬に推奨することはいたしません。