![]() 『ブエナビスタが落としたレースの敗因を考える』 展望その1で注目したのは、サンデーサイレンス(SS)系とノーザンテースト(NT)を主要4系(父・母父・父母父・母母父)に併せ持つか否かでした。 ブエナビスタがこの条件を満たさないことは、前回ご紹介しました。 ただ、この馬はちょっとやそっとの不利は克服してしまう力を持っており、これだけでは軽視するわけにはいきません。 今まで何度か適性を跳ね返してきたように、今回もやられてしまうかもしれません。 しかし、どんな馬にも必ず弱点はあるものです。 競走馬の能力の中には、互いに逆向きのベクトルをもっているものもあり、それらは相容れない関係にあります。 そういった場合、ある能力に秀でた馬は、それが発揮できるレースには滅法強いですが、そうでないレースはパフォーマンスを落とします。 至極当然のことですが、競馬の予想では最も大事なことで、この特徴をつかんだ馬をいかに増やしていけるかが大切です。 ブエナビスタにしても例外ではなく、負けたレースには必ず理由があるはずです。 それを今回もう一度しっかり考えてみたいと思います。 ブエナビスタについて話を進める前に、宝塚記念の特徴についてふれておきます。 宝塚記念は阪神開催に限っては、昨年ドリームジャーニーが勝利するまで、10年近く父サンデーサイレンス(SS)系から優勝馬が出ていませんでした。 ただ、からっきし駄目かというとそうではありません。 当ブログでよく出てくる父サンデーサイレンス(SS)系の分類で、SSらしいスピードを最後のキレという形で発揮するタイプと、SSらしくないスピードの持続力で勝負するタイプがいます。 これは上でふれた、互いに逆の方向を向いたベクトルを持つ能力の一例です。 確かに前者の瞬発力タイプは不調ですが、後者の持続力タイプからは好走馬が多く出ています。 12年前の勝ち馬サイレンススズカは後者の典型のような馬です。 その前年の勝ち馬マーベラスサンデーもこの系統では異端の部類に入る馬でしょう。 概してSS系が勝てないG1というのは、敢えて後者を狙うというのが一つの戦略になります。 今回注目したノーザンテースト(NT)を併せ持つサンデーサイレンス(SS)系というのは、今まで何度もふれてきたようにスピードの持続力で勝負するタイプの典型といえる配合です。 昨年、この配合が強調されているドリームジャーニーが勝利したのは、ごく自然な出来事でした。 ********************************************************* ブエナビスタはだれがどう見ても、前者のサンデーサイレンス(SS)系らしいキレ・瞬発力に特化した馬です。 過去の戦績にもその特徴が表れており、振り返ってみたいと思います。 桜花賞・阪神JF・チューリップ賞は、改修後の阪神芝1600m外回りで、改修前との比較で瞬発力タイプのサンデーサイレンス(SS)系の優位性が増したコースです。 Vマイル・オークスの東京芝も、この馬のキレが生かしやすいコースです。 また今年の京都記念は例年以上に、瞬発力が問われる流れとなりました。 これらのレースは、同馬にとって力を発揮しやすいものだっといえます。 翻って、この馬が敗れた国内5戦をみていきます。 新馬戦とエリザベス女王杯はドスローに嵌まったものだと思います。 まあこれは致しかたない面があります。 いくら当馬がキレるといっても物理的な限界は存在します。 今回オースミスパークの回避で逃げ馬不在ということで、スローの可能性もあります。 ただ、このコースは前半スローでも各馬の仕掛ける位置が前のほうにあるので、捲り気味に仕掛ける馬も出てきて結局持続力が問われることもよくあります。 今回も少なくとも、直線だけの瞬発力勝負にはならないのではないかと思います。 これがこのコースでサンデーサイレンス(SS)系&ノーザンテースト(NT)の傾向が安定して出ている要因にもなっていると思います。 注目したいのが、有馬記念と秋華賞の敗戦です。 有馬記念は上記のノーザンテースト(NT)を併せ持つサンデーサイレンス(SS)系が走りやすいレースです。 有馬記念も上記のSS系の分類があてはまるG1で、SSらしくないスピードの持続力で勝負するタイプが優勢です。 こちらは持続力配合の一つである、ボールドルーラー(BR)系を併せ持つサンデーサイレンス(SS)系がよく走りやすいという違いはあるものの、同じ方向性を持ったレースです。 これは両レースが非根幹距離で、上がりがかかりやすいのが一因だと思います。 ドリームジャーニーが両レースを勝ったのも、これを証明しています。 このレースで2着に来たもののドリームジャーニーの後塵を拝したブエナビスタと、宝塚記念と有馬記念でグラスワンダーに敗れた父スペシャルウィークの姿は被って見えます。 秋華賞はしばらくサンデーサイレンス(SS)系が勝てなかったという点で、このレースと共通点があります。 エアメサイア・ダイワスカーレットで2勝をあげているサンデーサイレンス(SS)系×ノーザンテースト(NT)、レインダンス・ムードインディゴが人気薄で2着したダンスインザダーク産駒は、ともに持続力タイプのSS系です。 またこのレースはダンシングブレーヴ(リファールLP系)が強いレースでもあります。 この系統はサンデーサイレンス(SS)系と反対のベクトルを持つということを、秋華賞展望で詳しくふれました。 この系統が走るレースでは瞬発力タイプのSSらしい馬が走りにくくなります。 なお安田記念でもこれと似た傾向が出ています。 つまりブエナビスタのSS系の中でもずば抜けた瞬発力が、逆に仇になったと思います。 過去の宝塚記念の成績を見ても、上であげたダンスインザダーク産駒のツルマルボーイ、母父ダンシングブレーヴのスイープトウショウ・メイショウサムソン、母父リファール(LP)系のダンツフレームといった名前が見られます。 特にスイープトウショウは、ブエナビスタが敗れた秋華賞を制し、ブエナビスタが勝ったVマイルで敗れています。 ブエナビスタと対極的な適性を持った馬といえます。 そのスイープが勝っている宝塚記念は、ブエナにとって簡単なものではないと思います。 なお、サンデーサイレンス(SS)系×Caerleonという配合では、シルクフェイマスの2着がありますが、これは父が持続タイプのマーベラスサンデーなので、参考にはしにくいです。 また札幌記念も、先着を許したヤマニンキングリーが、母がサンデーサイレンス(SS)系×ボールドルーラー(BR)系の持続力タイプでした。 まとめると、ブエナビスタが負けやすいレースには2つの特徴があります。 1.サンデーサイレンス(SS)系の勝利が少ない 2.持続力タイプのサンデーサイレンス(SS)系の好走馬が多い この2つは似たようなことですが、宝塚記念はこれを両方とも満たすレースです。 ブエナビスタがこのポイントを持った秋華賞・有馬記念というキーレースを落としている、という事実にはしっかり目を向けるべきだと思います。 以上より、今回のブエナビスタには隙があると考えます。 正直その実力から馬券圏外に沈むことは想像しにくいです。 ただ、自分は少なくともアタマ(1着)はないとみて、勝負しようと考えています。 弱気かと思われるかもしれませんが、点数を減らせるということでは、メリットも少なからずあると思います。 今まで散々やられてきたのだから止めといたほうがいいんでないの、という声が聞こえてきそうですね。 でも自分の考え方のスタイルとして、今回は重視することができません。 今回勝たれたらさすがに、国内では降参します。 そういう意味では最期の勝負になるかもしれませんね。 |
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201006231900 |
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