【スプリンターズS】の血統データから血統傾向を見ていきます。
『ペースで二分される血統傾向』
スプリンターズSの血統データ(10年分)

『ペースで二分される血統傾向』
昨年◎
ローレルゲレイロ→○
ビービーガルダン→▲
カノヤザクラで仕留めたレースです。
基本的な考え方は同じですが、しっかりまとめておきましょう。
このレースはペース(ラップ)によって2つのタイプに分類できます。
今回は上記血統データにラップも入っていますので、併せてご覧ください。
馬場差など年によって誤差はありますが、大きな分類では以下のようになります。
1.
ハイペースで上がりがかかるラップになった年(00・01・04・06・07・09年)
スタートから2・3ハロン目に10秒台のラップを刻んで、ラスト1ハロンが12秒台とかかる場合です。
2.
スローペースで上がりが速いでラップになった年(03・05・08年)
スタートから3ハロン目が11秒台と上がらず、ラスト1ハロンが11秒台と速い場合です。
ではこの2つのラップを分ける分岐点とは何でしょうか。
まずパッと目に付くのは、雨の影響を受け馬場が悪化した場合です。
00年・04年・07年が当てはまりますが、これらの年はすべて1の「上がりがかかる」ラップになっています。
今年も馬場悪化の可能性がかなりありますね。
馬場状態に注意は必要ですが、ラップの鍵を握るのはやはり逃げ(4角先頭)馬です。
もう一つの判断材料となるのは、この逃げ(先行)馬の質によってペースが決まるというものです。
1の「上がりがかかる」ラップになった年は、逃げ(先行)馬が実力馬でした。
00年の
ダイタクヤマト(この時点では実績がなく、最低人気でしたが)、04年の
カルストンライトオ、06年の
テイクオーバーターゲット、07年の
アストンマーチャン、09年の
ローレルゲレイロがそうです。
これに対して2の「上がりの速い」ラップになった年は、有力な逃げ馬が不在の年が多いです。
このペースに血統適性が大きく作用されます。
1.
ハイペースで上がりがかかるラップになった年(00・01・04・06・07・09年)
すべて非サンデーサイレンス(SS)系が勝っています。
サンデーサイレンス(SS)系は、上がりがかかればかかるほど力を発揮できていません。
03年2着の
デュランダルも、勝ち馬
カルストンライトオに4馬身離されたものでした。
2.
スローペースで上がりが速いでラップになった年(03・05・08年)
父サンデーサイレンス(SS)系が活躍しています。
03年は上記
デュランダルが勝ち、1-3着独占でした。
05年も2・3着で、この年は前半のペースは速いものの、上がり1ハロンは11.8秒と比較的速いものでした。
今年も出てくる
キンシャサノキセキが2着した08年もこのペースです。
サンデーサイレンス(SS)系が好走するには、2の「上がりの速い」ラップになる必要性があります。
逆に強力な逃げ馬が存在して1の「上がりがかかる」ラップになる年は、非サンデーサイレンス(SS)系の逃げ馬がその逃げによって
サンデーサイレンス(SS)系に道中で脚を使わせ、その差し脚を封じることができるわけです。
今年はどちらのペースになるのでしょうか?
昨年1のペースを作った
ローレルゲレイロが今年も出走します。
ヘッドライナー陣営からハナ宣言も出ているようです。
ウルトラファンタジーも行けるかどうかは定かではないですが、逃げ馬といえます。
スローは想定しづらく、1の
ハイペースで上がりがかかるラップになる年と判断します。
ではこれを踏まえて注目馬をみていきましょう。
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・
キンシャサノキセキ (
Fuji Kiseki×
Pleasant Colony)
上がりがかかるラップがマイナスの
サンデーサイレンス(SS)系です。
昨年は不利ありも同じペースで凡走しています。
消し勝負になると思います。
・
ローレルゲレイロ (
キングヘイロー×
テンビー)
昨年本命とし、勝利しました。
リファール(LP)系×
ニジンスキー(NJ)系ですが、この2つの血は
サンデーサイレンス(SS)系が苦手なレースに強い血でもあります。
もちろん適性は高いですが、今年は昨年以上にマークが厳しくなりそうですし、再度本命は打ちづらいですね。
・
ビービーガルダン (
チーフベアハート×
Westminster)
昨年対抗とし、2着でした。
父ダンチヒ(DZ)系は、上記2系統と一緒に走りやすいというのもその理由でした。
・
グリーンバーディー (
Catbird×
Last Tycoon)
父ダンチヒ(DZ)系で、昨年の1・2着馬と同じグループとみていいと思います。
上がりがかかるラップになれば、人気でも逆らいづらい存在になりそうです。
・
ウルトラファンタジー (
Encosta de Lago×
Sir Ivor)
血統的な特徴は
Sir Ivorの5×2のクロスがあることです。
この系統はビービーガルダンの母父と同系です。
上がりがかかるラップ自体は合うと思います。
気になるのは父が
フェアリーキング(FK)系であることです。
この系統は大元が
サドラーズウェルズ(SW)系と同じなのですが、今開催の中山芝重賞では、この血を持ったゲシュタルト・ジャミールが人気で敗退しました。
野芝が合わない可能性はあります。
・
ワンカラット (
Falbrav×
Pistolet Bleu)
同じく父が
フェアリーキング(FK)系です。
洋芝重賞連勝後の野芝というのも怖い気がします。
・
ダッシャーゴーゴー (
サクラバクシンオー×
Miswaki)
昨年、1頭も馬券圏内馬を出していなかった
サクラバクシンオー産駒のカノヤザクラに▲を打ち、3着に好走しました。
同馬はこの産駒のなかでは特殊な部類の馬で、上がりがかかるレースを得意としていました。
この2頭はともにセントウルSを勝っており、母父が芝G1馬を出している
ミスタープロスペクター(MP)系で、母母父にスタミナ血統という共通項があります。
第二のカノヤザクラになれる可能性はあるとみています。