京都芝1400m重賞(スワンS・ファンタジーS)は、道中のペースによって好走血統が変わります。
端的に言うと、ペースが遅くなると
サンデーサイレンス(SS)系を中心とした瞬発力血統が、速くなると非サンデーサイレンス(SS)系の持続力血統が台頭します。
先週のスワンSはスローペースで、
サンデーサイレンス(SS)系が1・3・4・5着、2着馬も同等の瞬発力を持つ血統馬でした。
そして非サンデーサイレンス(SS)系の持続力血統の1・4人気馬が敗退しました。
このレースでも、
サンデーサイレンス(SS)系が勝った01・02・04・09年は前半1000m通過がすべて58秒台とスローでした。
逆に非サンデーサイレンス(SS)系の1・2着となった00・05・06・07年は前半1000m通過が56秒台~57秒台でした。
このレースで求められる適性を決するペースの境界線は、前半1000m通過58秒前後ですね。
ペース判断については、参戦馬が多い同じ京都芝1400mの500万特別(りんどう賞・かえで賞)が参考にはいいと思います。
特にペースが速くなった06・07年は、それぞれアドマイヤプルート・エイムアットビップがかえで賞・りんどう賞で同様に速いペースで逃げていました。
もちろん同じ距離でも内回り→外回りになる分、向こう正面の直線が長くなってペースが緩みやすくなる傾向にあり、この2つのレースを速いペースで引っ張った牝馬が出て来ても、昨年のようにスローになってしまうこともあるのは注意点です。(昨年はこれに嵌りました)
今年はかえで賞は該当馬がおらず、りんどう賞は不良馬場を考慮しても速いペースではありませんでした。
少なくともアドマイヤプルート・エイムアットビップ級の逃げ実績のある馬はいません。
未勝利戦を逃げ切ったマルモセーラが、稍重馬場で57.5秒となかなかのペースで行っているのをどこまで評価するかです。
非サンデーサイレンス系の当馬が(母母父は
サンデーサイレンスですが、現時点では母父と比べてそこまで影響力を感じる産駒は確認できていません。)好走するには自分で速いペースを作る必要があるとみますが、控える競馬でもOKというコメントが陣営から出ているのは気になるところです。
当馬を除いた人気どころはほとんど
サンデーサイレンス(SS)系なので、ハイペースになってくれたほうが確率変数は高くなるのですが。
今までの自分のスタンスでは、こういう場合駄目元で本来の血統の良さが出やすいハイペースに張っていたのですが、近年の競馬の主流というか傾向からして流れが落ち着くケースが相当多く、よほどしっかりした逃げ馬がいるなどハイペースになる根拠が見出せなければ、スローに張ったほうがいいと考えを改めました(諦めた?)。
逃げ馬がある程度のペースで行っても、2番手以降は追いかけず後続はスローというのも多いですしね。
よって今年はスローペース想定で予想します。
ただ心残りなので、ハイペース想定の注目馬も最後にあげておきます。
ペース読みの保険で押さえるかもしれません。
◎
ホーマンフリップ (
フジキセキ×
フレンチデピュティ)
スローになった01年に1・2着した、
フジキセキ×
ノーザンダンサー(ND)系です。
同じくスローの昨年は開催傾向の影響があったものの、
サンデーサイレンス(SS)系と米国型
ノーザンダンサー(ND)系の配合の1・2着でした。
1400mということを考慮して、少しダートっぽい血統との配合のほうがいいように思います。
また
ゼンノロブロイ産駒の姉アニメイトバイオが
サンデーサイレンス(SS)系優位となった今年のスローのローズSを制しており、母系からも瞬発力が使える見込みが大きいです。
○
ホエールキャプチャ (
クロフネ×
サンデーサイレンス)
本命馬と逆配合で、昨年の2着馬と同配合です。
ただ昨年の2着馬は母母父が
テディ(TD)系というのも、ダート色という点でよかったように思えます。
当馬の場合母母父が
レッドゴッド(RG)系で、全兄のドリームセーリングからもそこまでキレるタイプではない可能性もかなりあります。
本命・対抗は同系統から取るようにしているのでここに置きますが、そこまで重視できるかというとやや疑問です。
▲
ツルマルワンピース (
キングカメハメハ×
フジキセキ)
本命馬のところで書いた01年の2着馬を母に持ちます。
自分で速いペースを作りにいかないほうが、好走確率は上がると思います。
心配点は自分がスワンSで本命・対抗してハズレを引いた、
ミスタープロスペクター(MP)系×
サンデーサイレンス(SS)系ということです。
△
キョウワジャンヌ (
ハーツクライ×
Seeking the Gold)
サンデーサイレンス(SS)系に芝G1馬を出している
ミスタープロスペクター(MP)系が配合され、兄キョウワロアリング同様瞬発力を発揮しそうな配合です。
中間一頓挫あったとのことで、出来が無さそうなのはどうかです。
△
マイネイサベル (
テレグノシス×
サンデーサイレンス)
新潟2歳Sで繰り上がり本命となった馬です。
母父サンデーサイレンス(SS)の特性の瞬発力を見事に発揮しました。
ただ前走と比較しての
グレイソヴリン(GS)系の適性や、ダートっぽさのなさから、前走以上はないとみます。
△
ケイティーズジェム (
ディープインパクト×
Kris)
前走は超スローの2番手追走なので33秒台で上がっていますが、
サンデーサイレンス(SS)系×
エタン(AN)系は、ネオユニヴァース・ムードインディゴ・チューニー・チャペルコンサートなどそこまで瞬発力がある配合ではありません。
ここまで速めのペースを経験していて、ペースが緩んだ今回初めて瞬発力を発揮するようなタイプのほうが期待値は高く、遅い→遅いという過程を辿る場合はあまりおいしくはないというのもあります。
人気なので思い切って外すのもひとつの手です。
◎4 ホーマンフリップ
○5 ホエールキャプチャ
▲2 ツルマルワンピース
△15 7 10 12
<ハイペース想定重視馬>
昨年ふれたことですが、最近のハイペース年の勝ち馬の血統が、スプリンターズSの勝ち馬の血統と共通するものがあります。(08年はスローでしたが)
ファンタジーS
→スプリンターズS
・05年
ヴァイスリージェント(VR)系×
ミスタープロスペクター(MP)系→06年
ミスタープロスペクター(MP)系×
ヴァイスリージェント(VR)系・06年 アストンマーチャン
→07年 アストンマーチャン
・07年
クロフネ産駒→08年
クロフネ産駒・08年
リファール(LP)系×
ニジンスキー(NJ)系→09年
リファール(LP)系×
ニジンスキー(NJ)系4年続けてファンタジーSの勝ち馬・血統が、翌年のスプリンターズSで勝ち馬となっています。
これも踏まえて注目馬とします。
8
マルモセーラ (
クロフネ×
タマモクロス)
過去10年で最速のラップになった07年の勝ち馬が、
クロフネ×
欧州型ナスルーラ(NL)系でした。
08年のスプリンターズSでも同産駒が勝っています。
当馬の場合は自分でペースを作れる可能性があるのもいいです。
ハイペースが適いそうなら本命を考えていた馬です。
11
レッドマーベル (
シンボリクリスエス×
Westminster)
スプリンターズS2着馬ビービーガルダンの半妹です。
持続型の父からもハイペースなら穴候補になります。
17
ルリニガナ (
スニッツェル×
Kingmambo)
ダンチヒ(DZ)系はハイペースのスプリンターズの好走血統で、このレースでも近年は出走馬が少ないですが、過去には複数の好走馬が出ています。
ここ2年は当週の同コースでの血統傾向の影響が強く出ています。
今年も注意が必要と思っていましたが、みやこSの新設で土曜開催になってしまいました。
何か他の距離で傾向が出ていたら追加でふれますが、把握は難しいでしょうね。