【エリザベス女王杯】の血統データから血統傾向を見ていきます。
『ペースとコース形状と血統の相関関係』
エリザベス女王杯の血統データ(10年分)

『ペースとコース形状と血統の相関関係』
エリザベス女王杯はリピーターが走りやすいレースです。
こうしたレースは血統傾向がしっかり出ており、毎年同じような適性が要求されているということになります。
同じコースでもペースが違えば各年で血統傾向の偏差が出てくるのは一般的ですが、このレースはそれが少ないと言えると思います。
ペースによる影響が少なくなる要因としては、そのレースが行われるコース形状が考えられます。
ローカルの芝レースが一般的で、コース形状によって展開面はほぼ決まります。
ただローカルはあまりスローペースになることはないですが。
ペースが違っても全体的にあまり差が出ない好例は、阪神の内周りコース芝2000・2200mですね。
エリザベス女王杯のペースですが、基本的にはスローといえます。
逃げ馬が飛ばす年もありますが、近年は中団勢が離れて追走することが多く、後続は実質スローです。
そしてこれがポイントですが、
前半が速くても遅くても、道中は後続が前を追いかけないということです。
これもコース形状に起因するのだと思いますが、こういうことを続けていればそれは昨年のような事故が起こり得ますよね。
つまり前のペースに関わらず、後続のペースはスロー安定と見ていいと思います。
特に今の古馬牝馬勢は、昨年から今年にかけてスローの前残りを連続してきていますからね。
まあ、昨年の二の舞をやられたらどうしようもないですが。
さて後続のペースはスローですが、かと言って瞬発力勝負になるかというと、それは違います。
前に離されていることで早めに仕掛ける必要が出てくるわけですが、京都の外回りの場合その仕掛けどころである残り800m地点が山の頂点にあたり、そこから下り坂を利して自然にスピードに乗ることができるからです。
なので瞬発力より、
早めの仕掛けからロングスパートに耐えうる持続力・スタミナが問われるといえます。
ということで、血統的には
サンデーサイレンス(SS)系が必須ではありません。
正確には
サンデーサイレンス(SS)系の瞬発力はいらない、ということです。
01年以降の非サンデーサイレンス(SS)系の連対馬を見ると、ファインモーションの
ダンチヒ(DZ)系、スイープトウショウ・カワカミプリンセスの
リファール(LP)系、オースミハルカの
ニジンスキー(NJ)系に注目できます。
この3系統は
欧州型ノーザンダンサー(ND)系の中では適性が似ていて、同じレースで好走することが多いです。
一般的にはハイペース向きで瞬発力はないですが、このレースに限ってはロングスパートに耐えうるスタミナで好走しています。
サンデーサイレンス(SS)系で好走しているのは、持続力タイプの馬です。
サンデーサイレンス(SS)系は、
ノーザンテースト(NT)や
ボールドルーラー(BR)系などと配合されると持続力型に出ます。
アドマイヤグルーヴは母母父が
ノーザンテースト(NT)、ダイワスカーレットは母父が
ノーザンテースト(NT)で父母父が
ボールドルーラー(BR)系、エルノヴァは母母父が
ボールドルーラー(BR)系です。
また、トゥザヴィクトリー・フサイチパンドラが好走している、
サンデーサイレンス(SS)系×
ヌレイエフ(NV)系も持続力タイプです。
現役ではサンライズベガ・アロマカフェあたりが好例です。
よって過去好走しているのは大別して、
欧州型ノーザンダンサー(ND)系のスタミナタイプ、もしくは
サンデーサイレンス(SS)系の持続力タイプの2つとみます。
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<各馬短評>
・
アニメイトバイオ (
ゼンノロブロイ×
フレンチデピュティ)
当馬のローズSと秋華賞、妹のファンタジーSを見てもわかるように、瞬発力タイプの
サンデーサイレンス(SS)系です。
今までに持続力型のレースをほとんど経験していないのが、ここでどうでるかです。
・
アパパネ (
キングカメハメハ×
Salt Lake)
好走血統の2タイプのどちらにも当てはまりません。
今年の牝馬三冠はすべて瞬発力タイプのレースで、通常持続力タイプの秋華賞も異例のペースになりました。
もう一勝負する隙はあるとみます。
・
アーヴェイ (
Danehill Dancer×
In the Wings)
父はファインモーションと同じ
デインヒルの系譜の
ダンチヒ(DZ)系です。
・
アースシンボル (
トウカイテイオー×
リアルシャダイ)
父パーソロン(PS)系は、エイダイクインの3着(10人気)、ヤマニンシュクルの4着(8人気)があります。
この2頭はともに
母父ニジンスキー(NJ)系ですが、当馬も母母父にこの血を持ちます。
同じ父と母父の組み合わせにマイルCSの覇者トウカイポイントがおり、京都外回りで注意したい血統です。
血統的な瞬発力要素はなく、前走の東京戦はスローですがロングスパートで長い脚を使えることを示しました。
・
コロンバスサークル (
ホワイトマズル×
サンデーサイレンス)
母父サンデーサイレンスですが、瞬発力一辺倒のタイプではありません。
これは父の
リファール(LP)系によるところが大きく、特に
ダンシングブレーヴの系譜は
サンデーサイレンス(SS)系と逆のベクトルを持ちます。
上記スイープトウショウ・カワカミプリンセスに加えリトルアマポーラが勝利しています。
・
スノーフェアリー (
Intikhab×
Charnwood Forest)
父は
Red Ransomの流れの
ロベルト(RO)系、母父は
ウォーニングの流れの
マッチェム(MC)系、母母父が
ラストタイクーンの系譜です。
Robertoの3×5のクロスが特徴ですかね。
正直よくわかりませんね、適当なことも言えませんし。
予想までにもう少し考えてみますね。
・
セラフィックロンプ (
マンハッタンカフェ×
ロイヤルスキー)
サンデーサイレンス(SS)系×
ボールドルーラー(BR)系です。
この配合が走りやすい中京2000m重賞で好走しており、前で恵まれればですね。
・
ヒカルアマランサス (
アグネスタキオン×
A.P. Indy)
サンデーサイレンス(SS)系×
ボールドルーラー(BR)系で、父母父も含めてこの血が強調された馬です。
この馬に関してここ数戦の評価で、逆にクロスの影響で瞬発力によっている、と書きましたが、これは間違いですね、すみません。
しっかりレースを見ればそんなことはありえず、エンジンのかかりが遅いですよね。
まあもともとは、
ボールドルーラー(BR)系が強調された持続力タイプと言っていたのですが。
京都外回りコースなら、前2走のように押して押して上がっていくということにはならないでしょう。
Vマイルは通常はこのレースとは結びつきませんが、今年の当馬に関しては前々から持続力を発揮して好走しました。
昨年の愛知杯(4着)はスローからのロングスパート勝負という点でこのレースに似たものを感じますが、1着がリトルアマポーラで、3着が今回人気のメイショウベルーガでした。
ここでクビ+クビ+ハナなら力差はそれほどないでしょう。
・
プロヴィナージュ (
フレンチデピュティ×
サンデーサイレンス)
母が
サンデーサイレンス(SS)系×
ボールドルーラー(BR)系です。
似た傾向の秋華賞でも走っています。
・
メイショウベルーガ (
フレンチデピュティ×
Sadler's Wells)
当馬は
サドラーズウェルズ(SW)系が強く出た馬で、この適性が鍵です。
このレースに関しては、やや判断が微妙です。
印は打たなくてはいけないと思いますが、どれくらいの評価にするか、もう少し考えてみます。