【ジャパンC】の血統データから血統傾向を見ていきます。
『ペースが鍵を握る血統適性』
~全頭分析~
ジャパンCの血統データ(9年分)

『ペースが鍵を握る血統適性』
東京競馬場の芝重賞は02年に行われた馬場改修後、レース傾向が変化したものが多く見られます。
近年はジャパンCやダービーといったチャンピオンディスタンスでも、スローの上がり勝負になることが増えてきました。
レースのペースを表す指標にPCIがありますが、単純にこれを見比べてもその違いははっきりと分かります。
改修後良馬場で行われた04年以降を対象にレースPCIを見ていきます。
PCI(pace change index)
上がり3ハロンの位置を分岐とし、その前後の走破タイムからそれぞれ速度を計算し、その比を表したもの。
つまり、3ハロン前後でどれだけ速度が変わったかを表している。
数値が約50で前後半が同一程度のペースになり、それより小さい値だと後半の速度が低下したことを意味し、大きい場合は速度が速くなったことを意味する。
一般的には、PCIの値が大きいほど速度変化が大きくなるので、血統的にはそれに対応する瞬発力が求められます。
ちなみに今年のダービーは、この値が68.8というとんでもないレースでした。
<ハイペース>
05年(41.9) 09年(49.8)
05年のJCは04年のダービーと、1着馬が同配合で、2着馬が同一馬です。
その年のダービーもPCIが46.2ですから、ハイペースならこの2頭に近い血統は重視することになります。
09年もスローの前年の3・5着馬がそれぞれ1・2着と、適性面の上昇を証明しています。
外国馬が走れるとしたらこちらのペースだと思います。
注目血統
・
キングマンボ(KG)系×
ノーザンダンサー(ND)系・
グレイソヴリン(GS)系・
ニジンスキー(NJ)系・その他欧州型血統
<スローペース>
04年(53.3) 06年(59.4) 08年(58.8)
こうしたチェンジオブペースのレースになると強いのが
母父サンデーサイレンスで、2勝をあげ3連対しています。
その他
サンデーサイレンス(SS)系の重要度も高いです。
注目血統
・
母父サンデーサイレンス・
サンデーサイレンス(SS)系・
ミスタープロスペクター(MP)系・その他日本に馴染みのある血統
***************************************************
1
ヴォワライシ (
Daylami×
Barathea)
ネヴァーベンド(NB)系×
サドラーズウェルズ(SW)系と欧州要素が強くハイペース向きです。
昨年のコンデュイット(4着)と同配合です。
2
ヴィクトワールピサ (
ネオユニヴァース×
Machiavellian)
Haloの3×4のクロスで瞬発力が出ているものの、母系の欧州色の強さからダービーのような極限の瞬発力勝負になると厳しい面があります。
04年のような平均的なペースで、尚且つ一定の瞬発力が求められる展開が理想かと思います。
3
ダンディーノ (
Dansili×
Generous)
ダンチヒ(DZ)系×
ニジンスキー(NJ)系で、日本で言えばトウカイメロディのような配合の3歳馬です。
もちろん当馬は欧州色が強く、瞬発力勝負では厳しいです。
4
シンゲン (
ホワイトマズル×
サンデーサイレンス)
リファール(LP)系×
サンデーサイレンスです。
母父サンデーサイレンスでもこの配合をすると、父系がその瞬発力を殺いでしまうのでどっちつかずの扱いづらい血統です。
平均よりやや速いくらいで、瞬発力とスタミナがともに要求されるような展開が理想です。
5
ダンディーノ (
Sadler's Wells×
Warning)
サドラーズウェルズ×
マッチェム(MC)系です。
ペース以前に
Sadler's Wells直仔は厳しい印象です。
6
ローズキングダム (
キングカメハメハ×
サンデーサイレンス)
母父サンデーサイレンスで、ダービー・神戸新聞杯・東スポ杯など瞬発力勝負で力を発揮してきました。
極限の瞬発力勝負なら最上位と言える存在です。
持続力が問われても全く走れないとは思いませんが、これだけ瞬発力勝負ばかりやっていると果たして対応できるのかが不安です。
7
ペルーサ (
ゼンノロブロイ×
Candy Stripes)
サンデーサイレンス(SS)系×
レッドゴッド(RG)系で、この配合はそこまで瞬発力がありません。
ダービーのような極限の瞬発力勝負は駄目なので、平均よりややハイペースに寄ったほうがいいと思います。
8
ジャガーメイル (
ジャングルポケット×
サンデーサイレンス)
母父サンデーサイレンスです。
母母父が
ノーザンテーストなので劇的に瞬発力に寄っているわけではないですが、同父のオウケンとの比較でも瞬発力勝負に強いです。
天皇賞春や京都記念がこのタイプのレースでした。
9
ティモス (
Sholokhov×
Surumu)
サドラーズウェルズ(SW)系×
ハンプトン(HP)系です。
特に強調することもないですが、欧州型でハイペース向きです。
10
エイシンフラッシュ (
King's Best×
Platini)
ローズ同様最近は瞬発力勝負ばかりですが、非サンデーサイレンス(SS)系の分、当馬のほうが持続力勝負にも対応する下地があります。
どちらのペースにも対応できる
キングマンボ(KG)系の強みは魅力ですが、平均的に流れたときは逆にキレ負けする可能性もあります。
中間のアクシデントもあり、見極めが難しいですね。
11
ナカヤマフェスタ (
ステイゴールド×
タイトスポット)
ステイゴールド産駒で持続力タイプです。
宝塚記念のようなレースが理想です。
瞬発力勝負では隙がありそうです。
12
ジョシュアツリー (
Montjeu×
Grand Lodge)
サドラーズウェルズ(SW)系×
ダンチヒ(DZ)系です。
欧州型で、その要素が強い
Montjeu産駒というのも疑問です。
ハイペースになってどうかというところです。
13
メイショウベルーガ (
フレンチデピュティ×
Sadler's Wells)
サドラーズウェルズ(SW)系の影響が強い馬です。
このレースではそれほど目立ちませんし、ハイペースになってどれくらい走れるかです。
14
オウケンブルースリ (
ジャングルポケット×
Silver Deputy)
父グレイソヴリン(GS)系で昨年の本命馬です。
中間のアクシデントが微妙ですが、ハイペースならかなり有力です。
15
フィフティープルーフ (
Whiskey Wisdom×
Horatius)
父は
ワイルドアゲイン産駒で、さすがに厳しい印象です。
16
ブエナビスタ (
スペシャルウィーク×
Caerleon)
サンデーサイレンス(SS)系×
Caerleon系は瞬発力に富みます。
かなりのハイペースか、極限の瞬発力勝負以外では崩れるところは想像しづらいです。
17
マリヌス (
Numerous×
Panoramic)
ミスタープロスペクター(MP)系×
レッドゴッド(RG)系です。
父は
ジェイドロバリーの全兄弟というのをどう見るかです。
18
シリュスデゼーグル (
Even Top×
Septieme Ciel)
父の
クラリオン(CL)系が如何にも厳しい感じでどうでしょうか。