まず展望で鍵としたペース判断からです。
今年は日本馬に先行タイプが少なく、巷ではスローペースが予想されています。
確かにしっかりした先行馬がいた昨年のような淀みない流れは想像しにくく、昨年と同じポイントは攻めづらいです。
ただスローといっても一様には括れず、細部にまで目を向ける必要があります。
まず今年のダービーに代表されるような、極限の瞬発力勝負になるかどうかです。
神戸新聞杯~菊花賞もそうですが、これら一連のレースは道中が緩んで勝負処で一気のギアチェンジが要求される、直線正味3~4ハロンの競馬でした。
ただこれらは3歳牡馬の似たようなメンバーに限られた条件で行われたものであり、こうしたペースの固定化といのは昨年から今年にかけての古馬牝馬戦線のように、固定化されたメンバー構成が続いた時に起こりやすい傾向にあります。
今回は組み合わせがかなり変わりますし、こういった特殊ペースに一点張りというのもリスクが大きいので、超スローの究極の上がり勝負は想定から除外します。
まあこのペースになればダービー1・2着馬が強いことは明確かと思いますが、その上でまた同一のペースにしてしまったら他の騎手のミスとして諦めます。
そこでポイントになるのが、スパート地点がどの辺りになるかです。
先導するのは外国馬になりそうですが、今年は実績面で不安がある馬が多く、ラビットがいないアウエーの一戦となると前半は速くならないでしょう。
ただ各陣営はブエナビスタの末脚や3歳勢の一連の瞬発力レースを当然目にしているでしょうから、仕掛けどころを遅らせすぎると厳しい戦いになるという考えを持ちそうです。
ということで、スローといえどスパート地点はかなり手前になるのではないかと思います。
まあ外国勢が観光目的で、手をこまねいて敗れるようなら話は別ですが。
よってスローはスローでも単純な瞬発力勝負ではなく、仕掛けどころは4角付近で残り4~5ハロンの末脚勝負とみます。
過去のレースで言えば、スクリーンヒーローが勝った08年が近いイメージです。
血統的にはスローペースから勝負処での瞬発力だけでなく、トップスピードに乗った後の持続力も重視します。
◎
ジャガーメイル (
ジャングルポケット×
サンデーサイレンス)
瞬発力を生み出す
母父サンデーサイレンスで、天皇賞春や京都記念などのチェンジオブペースでしっかり対応しています。
加えて当馬は母母父が
ノーザンテーストで、
サンデーサイレンス(SS)系との配合で発生する持続力も持ち併せています。
ブエナビスタが勝ち切れないレースの勝ち馬はこの持続力も持つ
サンデーサイレンス(SS)系ということが多く、僅差の京都記念からも到底逆転不可能な差ではありません。
母が
サンデーサイレンス×
ノーザンテーストというのはスクリーンヒーローと同じで、アルゼンチン共和国杯で1・2着した関係でもあります。
近年の東京芝2400m重賞と2500m重賞はペースの流れなさから、以前ほど明確な違いが無くなってきています。
その2500m重賞で
ジャングルポケット産駒や
グラスワンダー産駒がよく走っていることからも、この2頭は適性面でかなり近いものがあるのではないでしょうか。
加えて土曜の東京芝では、各距離を通じて
グレイソヴリン(GS)系の血を持つ馬がよく走っていました。
日曜当日のチェックも必要ですが、これも追い風です。
想定ペースがしっかり嵌れば、前走本命のモヤモヤを吹き飛ばせる公算です。
○
ブエナビスタ (
スペシャルウィーク×
Caerleon)
サンデーサイレンス(SS)系×
Caerleon系は瞬発力に富み、これまでのレースからも瞬発力が鍵になるレースでは基本逆らえません。
ただベスト条件だった前走よりは隙はあるはずです。
持続力が問われる要素が強いほど、それは大きいとみます。
あと極限の瞬発力勝負では差し損ねる可能性があります。
▲
ペルーサ (
ゼンノロブロイ×
Candy Stripes)
サンデーサイレンス(SS)系×
レッドゴッド(RG)系はそこまで瞬発力に寄っているわけではなく、ダービーのような極限の瞬発力勝負は不向きです。
想定したペースで長くいい脚を繰り出せるような流れになればですね。
また土曜の東京芝では、
グレイソヴリン(GS)系以外にも
ネヴァーベンド(NB)系や
レッドゴッド(RG)系といった欧州型の
ナスルーラ(NL)系が好走しており、その点もプラスです。
△
ヴィクトワールピサ (
ネオユニヴァース×
Machiavellian)
Haloの3×4のクロスで瞬発力が出ているものの、母系の欧州色の強さからダービーのような極限の瞬発力勝負になると厳しい面があります。
平均的なペースで尚且つ一定の瞬発力が求められる展開が理想です。
ダービーの1・2着馬とは大きな差はなく、欧州要素の強い今の馬場も合います。
△
エイシンフラッシュ (
King's Best×
Platini)
ローズキングダムとの比較では、非サンデーサイレンス(SS)系の分、当馬のほうが持続力勝負にも対応する下地があります。
どちらのペースにも対応できる
キングマンボ(KG)系の強みは魅力ですが、超瞬発力勝負かどっぷりの持続力勝負がいいという特殊な馬と見ています。
想定したペースのように平均的に流れたときは逆にキレ負けする可能性もあります。
また瞬発力勝負ばかり続いているというのも不安で、中間のアクシデントもあり、評価は少し抑えたいです。
△
シンゲン (
ホワイトマズル×
サンデーサイレンス)
リファール(LP)系×
サンデーサイレンスです。
母父サンデーサイレンスでもこの配合をすると、父系がその瞬発力を殺いでしまうのでどっちつかずの扱いづらい血統です。
同配合のアサクサキングスがどちら寄りのペースでも駄目だったように、そこまで大きな期待はかけにくいです。
◎8 ジャガーメイル
○16 ブエナビスタ
▲7 ペルーサ
△2 10 4
<無印馬>
6
ローズキングダム (
キングカメハメハ×
サンデーサイレンス)
母父サンデーサイレンスで、ダービー・神戸新聞杯・東スポ杯など瞬発力勝負で力を発揮してきました。
極限の瞬発力が問われるペースなら本命となる馬です。
持続力が問われても全く走れないとは思いませんが、これだけ瞬発力勝負ばかりやっていると果たして対応できるのかが不安です。
母父サンデーサイレンスが本命で、わざわざ外すこともないかもしれませんが、今回ははっきりした印を心掛けました。
11
ナカヤマフェスタ (
ステイゴールド×
タイトスポット)
ステイゴールド産駒で、今回の
サンデーサイレンス(SS)系の中では最も持続力に寄ったタイプです。
宝塚記念のようにペースが流れるのが理想で、スローな流れでどこかでチェンジオブペースが起こった場合に不安があります。
イメージとしては今年の京都記念で、同父のドリームジャーニーが今回の本命対抗に遅れを取った感じです。
14
オウケンブルースリ (
ジャングルポケット×
Silver Deputy)
昨年の本命馬で、本命馬との
ジャングルポケット決着を消してしまうのもどうかと思いますが、サンデーサイレンス(SS)系の有無を重視します。
中間のアクシデントも微妙で、昨年のようなペースにならなければ、パフォーマンスを落とすとみます。
外国馬は実績面もありますが、血統的にも今年の想定したペースに合う馬を見出せませんでした。
各馬の考察は展望をご参照ください。
日本の上位人気馬の無印は、ペース想定が嵌ったときに隙を見せそうな3頭を選びました。
昨年のハイペース2着馬と、それぞれ瞬発力No.1と持続力No.1馬です。
また印上位3頭は天皇賞組で、中間にアクシデントがあった2頭、海外帰り2頭と比べて順調度で優位です。
また今年の天皇賞は瞬発力だけのレースではなかったのもよく、想定のペースになれば、瞬発力勝負ばかりの2頭も経験度で上回ります。
ペース予想が難しい今年は、予想のリスクがどうしても高くなりますね。
ペース読みを外すと全く違う結果もあり得るので、昨年のようなレースは貴重でした。
これに関しては神頼みによるところが大きいですが、上手く嵌るといいですね。