今年は週中どうにも組み立てがまとまらず、展望をパスする形になってしまいました。
その要因となったのがペースの問題です。
有馬記念と宝塚記念はスローペースが主流の現代競馬においても、しっかり流れることが多いレースといえます。
その結果、瞬発力より持続力が求められ、他の瞬発力要素の強いG1との棲み分けが、攻略の大きなポイントになります。
こうなりやすい要因として、この2コースの形状がまずあげられ、加えてグランプリ競走ならではの様々な路線からの参戦馬がいることも相乗効果になっていると思われます。
しかし今年のメンバーを見渡して、どうにも前半から流れるシーンが想像できません。
過去の比較的ペースが流れた年は、いわゆるしっかりした逃げ・先行馬が出走していました。
02年~05年のタップダンスシチー、06年のアドマイヤメイン、07・08年のダイワスカーレット、09年のリーチザクラウンといった面々です。
今年はこのクラスの馬はおらず、前半は遅い入りとなる公算が大きいです。
今年は近年の過去の傾向とは異なる、変則的な狙いになります。
ではジャパンCのような完全な瞬発力勝負になるかというと、そうとは思いません。
それは東京と中山のコース形状の違いにあります。
当然直線が短い内回りの中山では、前半が遅ければ遅いほど後続の仕掛けのポイントは手前になります。
結果、ジャパンCのような正味3ハロンの勝負ではなく、4~5ハロン近く速い脚を持続する能力も要求されると考えます。
イメージとしては、今回のように先行馬が少なかった01年の流れが近いです。
この年は過去10年で前半1500m通過が最も遅く、残り5ハロンにかけて11秒台付近のラップが連続しました。
前半のスローから、向こう正面にかけての勝負所でのチェンジオブペースに対応する瞬発力に加え、ロングスパートに耐え得る持続力を兼備したタイプを狙います。
◎
エイシンフラッシュ (
King's Best×
Platini)
超スローになった今年のダービー馬で、このレースで見せた高速上がりと、皐月賞や京成杯で用いた脚のギャップが、この馬の特徴をつかみにくくしている要因となっています。
これに対する自分の見解を述べながら、ポイントを整理していきます。
まずこの馬に瞬発力を与えているのは父の
キングマンボ(KG)系と考えられます。
芝G1で結果を残せる一部の
ミスタープロスペクター(MP)系は一定の瞬発力を持つというのは自論ですが、特にこの系統はその中でも筆頭クラスです。
同系の
キングカメハメハがここまで成功していることからも、これは確かだと思います。
これより勝負所での一定の瞬発力は問題ありません。
次に持続力についてですが、これは母系から生まれていると考えます。
キングマンボ(KG)系は母系との配合次第で、瞬発力・持続力の割合が決まり、基本的には母父が非サンデーサイレンス(SS)系のほうが持続力要素が強くなります。
当馬は母系の欧州要素が強く、これが持続力のもとになっています。
ダービーで高速上がりを使えたのは究極の瞬発力によるものではなく、速い脚を長い区間使うことでのトータルの結果と考えます。
それは上位入線馬の中で当馬が最も後ろから競馬をしており、10秒台にも突入した究極の速い足を使った距離が最も長いのを見るとわかるかと思います。
前走のジャパンCは流れも向かず、直線の不利も痛かった面があります。
同系の父を持つローズキングダムも同じく不利を受けましたが、こちらは母父がサンデーサイレンスではない分、立て直せるほどの瞬発力はありませんでした。
過去の傾向からは、ペース想定のイメージとした01年に、同じ
父キングマンボ(KG)系のアメリカンボスが13人気で2着と激走しています。
陣営は先行策を匂わせており、中山芝重賞で実績がある点も含めて、同馬と同じような競馬を期待したいですね。
その01年に勝ったマンハッタンカフェが、当馬と同じドイツ牝系であるという点も後押しします。
○
ブエナビスタ (
スペシャルウィーク×
Caerleon)
昨年無印勝負したように、例年の有馬記念では嫌うべき瞬発力タイプです。
しかし今年想定の流れなら昨年以上の適性となり、これ以下の印には落とせません。
01年に勝ったのも
サンデーサイレンス直仔の瞬発力タイプであるマンハッタンカフェで、同馬は当馬と近親の関係にあるドイツ牝系でもあります。
天皇賞秋・ジャパンC以上の適性とは言いませんが、重い印は必要になります。
▲
トゥザグローリー (
キングカメハメハ×
サンデーサイレンス)
同じ
父キングマンボ(KG)系ですが、母父が
サンデーサイレンスの分瞬発力によっています。
例年の有馬記念では買える配合ではないですが、今年の想定ペースになれば十分可能性があります。
母は上記01年の3着馬であるトゥザヴィクトリーです。
理想は01年の1~3着馬の再現ですね。
△
トーセンジョーダン (
ジャングルポケット×
ノーザンテースト)
グレイソヴリン(GS)系~
ノーザンテースト~
ボールドルーラー(BR)系は、このレースの好走血統です。
近親のカンパニーもそうですが、近年のこの配合は速い脚を長く使うことで高速上がりにも対応しています。
今年想定の流れが合い、2歳時の競馬を見ても先行すると怖い存在になります。
△
ルーラーシップ (
キングカメハメハ×
トニービン)
父キングマンボ(KG)系で、母は
グレイソヴリン(GS)系×
ノーザンテーストです。
◎10 エイシンフラッシュ
○7 ブエナビスタ
▲11 トゥザグローリー
△4 5
<無印馬>
例年の有馬記念とは違うペースを想定しているので、普段なら評価する、
サンデーサイレンス(SS)系の中では持続力によったタイプも敢えて嫌います。
とは言っても瞬発力が求められるレースでこの系統を嫌うのは厳しい面がありますが、ブエナビスタに重い印を打つ以上、相手は絞りたいです。
1
ヴィクトワールピサ (
ネオユニヴァース×
Machiavellian)
母系の欧州要素は強いものの、
Haloの3×4のクロスがあり、瞬発力によっています。
ジャパンCが理想の流れで、速い脚を持続する力は強いほうではないため、ラストで甘くなる可能性があります。
12
ドリームジャーニー (
ステイゴールド×
メジロマックイーン)
サンデーサイレンス(SS)系に
ノーザンテーストが強調された持続力が非常に強いタイプで、例年の有馬向きです。
昨年の流れがベストで、今年想定の流れなら少なくともブエナビスタとはひっくり返るとみます。
14
ペルーサ (
ゼンノロブロイ×
Candy Stripes)
サンデーサイレンス(SS)系×
レッドゴッド(RG)系は持続力タイプで、例年の流れのほうが合うと見ます。
G1未勝利の配合でもあります。
<追記>
本日は所用で外出のため、コメントの返信や回顧は夜遅くになります。
開催データの更新は翌日以降になりそうです。