このレースを予想するに当たって、今週はかなり頭を悩ませました。というのも血統的な適性が見えづらいレースで、「
芝スプリント重賞タイプ分け」でも未分類の状態でした。
しかし展望でふれた、
スプリンターズSはラップによって2つのタイプに分類できるという考え方を推し進めるとひとつの結論に辿り着きました。当然ラップが違うわけですから来る血統も異なり、分類もしづらいということになります。
詳しくは
展望に譲りますが、大きく次の2つのタイプに分類できます。
1. 上がりがかかるラップになった年は逃げ・先行馬が活躍(00年・04年・06年・07年)
2. 上がりが比較的速いラップになった年は差し・追込み馬が活躍(03年・05年・08年)
一般的な常識とは違う特徴的な傾向です。
ではこの2つのラップを分ける分岐点とは何でしょうか。
まずパッと目に付くのは、雨の影響を受け馬場が悪化した場合です。00年・04年・07年が当てはまりますが、これらの年はすべて1の「上がりがかかる」ラップになっています。
今年は土曜に雨が降りましたが、日曜は晴れ予報で良馬場になりそうです。
では2の「上がりの速い」ラップになるかというと、そう単純にはいかないと思います。
ラップの鍵を握るのはやはり逃げ(4角先頭)馬です。もう一つの判断材料として推したいのは、この
逃げ(先行)馬の質によってペースが決まるというものです。
1の「上がりがかかる」ラップになった年は、逃げ(先行)馬が実力(人気)馬でした。00年のダイタクヤマト(この時点では実績がなく、最低人気でしたが)、04年のカルストンライトオ、06年のテイクオーバーターゲット、07年のアストンマーチャンがそうです。
これに対して
2の「上がりの速い」ラップになった年は、有力な逃げ馬が不在の年が多いです。
血統面では、1の「上がりがかかる」ラップになった年(00年・04年・05年・07年)はすべて非サンデーサイレンス(SS)系が勝っています。
サンデーサイレンス(SS)系で馬券になったのは王者デュランダルの2着のみで、これも勝ち馬カルストンライトオに4馬身離されたものでした。デュランダルが勝った03年は、前半が緩めでラスト1Fのラップが落ちない2のラップでした。
他にSS系が馬券になっている、05年・08年も2の「上がりの速い」ラップの年です。
つまり
サンデーサイレンス(SS)系が好走するには、2の「上がりの速い」ラップになる必要性があります。
逆に強力な逃げ馬が存在して1の「上がりがかかる」ラップになる年は、非サンデーサイレンス(SS)系の逃げ馬がその逃げによってサンデーサイレンス(SS)系に道中で脚を使わせ、その差し脚を封じることができるわけです。
では今年はどちらになるか?
それも含めて予想に入りたいと思います
◎は
ローレルゲレイロです。最近のレースぶり・スピード能力から、逃げるのはこの馬と見ていいでしょう。この馬が行くとなれば、G1勝ちを含めた実績面から、質の高い逃げ馬になるのは異論がないところです。
ということで今年は、1の「上がりがかかる」ラップになる年と判断します。
よって非サンデーサイレンス(SS)系から本命を取ります。
また当馬はこの逃げのスタイルになってからは自分でペースを作り、上がりがかかるラップを生み出すことができる馬です。この馬がペースを握って好走するレースというのは、上がりがかかるレースばかりです。しっかり前に行ってそして粘りこめる、今回はこの馬の良さが活かせるとみます。
今年の高松宮記念ではスタート後3F目も10秒台のラップを刻みながら、
サンデーサイレンス(SS)系の得意とする高松宮記念を勝ちました。安田記念でもマイル戦で同様のラップを刻んでいます(マイルではさすがにこれでは持ちませんでしたが)。体調が戻っていれば前走のようなことはなく、この馬本来のレースが出来るはずです。
血統面ですが、当馬は
リファール(LP)系×
ニジンスキー(NJ)系です。過去に
リファール(LP)系はあまり出走がなく直接推すデータはないですが、前に行って粘るスタミナも兼ね備えた血統である点は評価できます。
土曜日の芝1200mでは、同馬と同じ
キングヘイロー産駒が7人気で勝利しました。今開催では同産駒、2頭目の激走馬です。
日曜1Rで同産駒の出走が3頭あります。そのうちの1頭であるユウキサンオーラはすでに一度激走していて、◎と同じ
母父欧州型ノーザンダンサー(ND)系の配合ですが、ここで好結果が出ればなお良いです。
○
ビービーガルダンは
父ダンチヒ(DZ)系です。
欧州型ノーザンダンサー(ND)系という点で◎と共通点があり、阪急杯でワンツーしていることからも指向は同じタイプといえます。
ただ前走のキーンランドCで本命を打ち快勝しましたが、そのレースは強い
ダンチヒ(DZ)系の傾向が出ていました。それで今回人気を集めているので、おいしくはないですね。
しかし昨年は2の「上がりの速い」レースで、
SS系キンシャサノキセキに先着を許しましたが、◎が1の「上がりのかかるラップ」を作ってくれば逆転まで考えられます。◎と共闘作戦で積極的なレースをしたほうがいいと思います。
▲
カノヤザクラは
サクラバクシンオー産駒です。スプリンターズSで1頭も馬券圏内馬を出していません。しかし今年は
プレ展望でふれたとおり、芝1200mで
サクラバクシンオー産駒が好調で可能性があります。
1の「上がりがかかる」ラップになるアイビスSDで連覇しており、昨年(7着)より走れそうです。1の「上がりのかかるラップ」になる年はカルストンライトオ・サンアディユなどアイビスSD好走馬が馬券になります。前で競馬したほうが持ち味が出る血統だと思いますが、控えるのでしょうか?あと、サマーシリーズを戦った疲れは心配ではあります。
△筆頭は
アルティマトゥーレです。
フジキセキ(サンデーSS系)×
トニービン(グレイソヴリンGS)系配合です。当馬の前走セントウルS1着は、阪神開幕週の
SS系&
GS系配合の傾向の恩恵を受けています。その点を考えると人気の今回はおいしくありません。
しかし土曜の1800mで
ヘイロー(HL)系×
グレイソヴリン(GS)系がワンツーし、1600mでも逆配合の
グレイソヴリン(GS)系×
サンデーサイレンス(SS)系が2人1着・12人4着しました。また傾向が出ている印象です。
ただ阪神とは違い中山の場合、1200mでも同様の傾向が出るかは微妙です。傾向自体も阪神でのもののほうが強力だと思います。
上がりがかかるアイビスSDで負けているのは不安材料で、軽視の
SS系ですがこの傾向を考慮しこの評価とします。
あとは、
欧州型ノーザンダンサー(ND)系の
シーニックブラスト。
アイビスSDで好走している
アポロドルチェも今年のほうが合いそうです。
SS系は全体的に軽視ですが、オーシャンSで上がりのかかるレースを制していている
アーバニティは押さえます。このレースの2・3着馬は持続力レースに強く、当馬は一般的な
SS系とは異なるタイプである可能性があります。
◎13ローレルゲレイロ
○9ビービーガルダン
▲12カノヤザクラ
△2 7 16 15 6