過去に行なわれた【毎日王冠】の血統データから血統傾向を見ていきます。
『ハイペース? スローペース? それぞれに向いた血統は?』
過去の毎日王冠の血統データ(11年分)

今年の登録馬の血統

秋の古馬GⅠ戦線の足慣らしとして、今週は東西で格式の高いGⅡが組まれています。毎日王冠の過去のデータとしてご用意したのは、中山開催の02年を除く11年分、サンデーの第1,2世代にあたるジェニュインとバブルガムフェローが古馬になって参戦してきた97年からです。
11年分を見渡すに、
ターントゥ(TT)系、
ノーザンダンサー(ND)系、
ナスルーラ(NL)系がほどよく馬券になっています(
ナスルーラ(NL)系が若干少ないのは出走頭数自体が少ないためです)。近年は
ターントゥ(TT)系の勢力が強く見えますが、この重賞の肝は別のところにあります。
それは追って紹介するとして、まずは、別窓を開き「過去の毎日王冠の血統データ」をご覧ください。「府中の千八展開いらず」という格言をどこかで聞いたことがあるように、このコースにおいて、どこでペースが緩み、どこで加速したかは特に問題ないように思え(各Fごとのラップはあまり関係ないように思え)、
注目すべきは前半1000m通過のタイムと判断しました。各年の走破タイムの下に前半1000mが示されています。
赤字が
59.0秒以下 H(ハイ)ペース青字が
59.1秒以上 S(スロー)ペースという基準で示しています。M(ミドル)ペースの概念もなく、Hペースの判断について色んな基準があると思いますが、血統的傾向をあぶりだす意味で、当記事においては便宜上このような区分といたしました。それでは、各ペースによる血統傾向を見ていきます。
1.
Hペース(97 98 99 01 03 06 07年)
Hペースの年は、
欧州型ノーザンダンサー(ND)系、特に、
リファール(LP)系・ニジンスキー(NJ)系・ダンチヒ(DZ)系の血を持つ馬の活躍が目立ちます。(伝説のGⅡ98年サイレンススズカの年を除く)
97年 1・2着
99年 1・2・3着
01年 1・2・3着
03年 1・3着
06年 2着
07年 2着・4着(9人)
これらの系は、
スタミナが問われ踏ん張りが要求されるレースに強いという共通した指向を持っています。先週のスプリンターズSで、ビービーガルダン(
父ダンチヒDZ系)を◎ローレルゲレイロ(
リファールLP系×
ニジンスキーNJ系)と同じタイプとして、○を打ったのはこの考えがあったからです。
今年の登録馬では、
サンライズマックス・トウショウシロッコ・ホッコーソレソレー・メテオバーストがこれらの血を父または母父に有しています。(登録馬の血統の表参照)
2.
Sペース(00 04 05 08年)
Sペースの年は、
グレイソヴリン(GS)系の血を持つ馬の活躍が目立ちます。
GS系の影響が強い
タニノギムレット・アドマイヤベガも同様に考えます。
00年 3着(8人)
04年 1着
05年 2着(6人)
08年 2着・3着(10人)
グレイソヴリン(GS)系は、基本的にはスタミナが問われ踏ん張りが要求されるレースに強いという指向を持ちますが、こと
毎日王冠に関しては、Sペースに強く、Hペースでは特別な活躍は見せていないといえます。
今年の登録馬で
GS系(
タニノギムレット・アドマイヤベガ含む)は、
アドマイヤフジ・アブソリュート・ウオッカ・カンパニー・ジャガーメイル・スマイルジャック・トウショウシロッコ・ヒカルオオゾラがいます。
Sペース年につき、少し別の角度からも血統傾向を指摘しておきます。Sペース年の好走馬の血統を眺めているうちに、あるGⅠの好走血統の血統と重なることに気づきました。
00年
4人1着
サクラユタカオー(PG系)×
ノーザンダンサー(ND)系→ ウメノファイバー(99年オークス7人1着)
5人2着
父レッドゴッド(RG)系→ シンコールビー(03年オークス9人3着)
8人3着
グレイソヴリン(GS)系×
ナスルーラ(NL)系→ レディパステル(01年オークス5人1着)
04年
1人1着
グレイソヴリン(GS)系×
ノーザンテースト(NT)→ エアグルーヴ(96年オークス1人1着)
3人2着 ×
ノーザンダンサー(ND)系×
ネヴァーベンド(NB)系→ エリモエクセル(98年オークス7人1着) スマイルトゥモロー(02年オークス4人1着)
05年
9人1着
SS×
ロベルト(RO)系→ スティルインラヴ(03年オークス2人1着)
08年
2人1着
ロドリゴデトリアーノ(EL系)→ エリモエクセル(98年オークス7人1着)
毎日王冠とオークスとでは、距離も性別も年齢も異なりますが、こうした類似点は大事にしていきたいです。実際、
毎日王冠のSペースで注目のグレイソヴリン(GS)系は、2年連続でオークスの勝ち馬(ローブデコルテ・トールポピー)を輩出しています。つまり、Sペース年であれば、過去毎日王冠で好走例のない血統でも、オークス好走血統であれば狙えるということです。
これは逆にオークスの血統イメージをつかむのにも使えますね。
『今年のペースは?~注目馬』
というわけで、スプリンターズSに引き続き、毎日王冠も、ペース予想が重要となりました。
今年ははっきりした逃げ馬がいないようなので、最初スローになるかと思いましたが、
ヒカルオオゾラの存在がどうも気になります。この馬は、
東京のレースを使うと基本的に掛かる印象があります。3戦とも押さえ切れていません。適性抜群の2度のエプソムCでは3角から4角にかけて行ってしまい2年連続勝利を逃しています。ゆりかもめ賞のときもホクトスルタンと共倒れでした。
ヒカルオオゾラの鞍上が腹をきめて大逃げを打った場合ならいざ知らず、
先行集団で引っ掛かって乱ペースに持ち込む可能性があります。
追記⇒
ヒカルオオゾラは回避のようです。ペースについて再考が必要で、以下は参考程度に留めてください。そこで、今のところはHペースを想定し、
リファール(LP)系・ニジンスキー(NJ)系・ダンチヒ(DZ)系の血統に注目しています。
サンライズマックスの昨年はSペースでしたので、14着敗退は気になりません。その後
母父ダンシングブレーヴ(LP系)の適性を活かして天皇賞春で4着しましたし、年を経て化ける
ステイゴールド産駒です。Hペースになった時のウオッカ斬り、期待してしまいますね。
なおHペース想定の場合、
グレイソヴリン(GS)系の上記の有力馬は、
ウオッカを除き軽視したいところです。台風の影響が大きく残ると、東京は
GS祭り馬場になりかねませんが、金曜午後から晴れるとの予報なので、お天気にも期待します。