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開設後しばらくは重賞を中心に予想していきます。 詳しいデータも今後は公開していきますが、今週は文章のみで見解を。
【ステイヤーズステークス】 ◎予定だったトウショウシロッコが鳴尾記念にまわったことで難解になりました。 いくつかポイントをあげていきます。 ①アルゼンチン共和国杯組の取捨 00-03年まで京都芝3000mで行われていたドンカスターSが条件変更されて以降、当該重賞の臨戦過程として最も多いのは、東京芝2500mで行われるアルゼンチン共和国杯です。従来、東京の2400mと2500mとでは100m違うだけで全く異なる性質を持つ、と言われてきましたが、近2年ほどを見る限り、その差はなくなってきたように思われます。東京の馬場が、いっそう高速化した所以でしょう。実際、今年のジャパンカップは、史上初めてアルゼンチン共和国杯を制した馬の優勝でしたね。
このような変化からこれまで以上に、アルゼンチン共和国杯で瞬発力不足のために追い込みきれなかった差し馬の期待値が、ステイヤーズSで高くなっています。実際に昨年は、アルゼンチンで2,3着だったトウカイトリックとリキアイサイレンスを、追い込みきれなかったマキハタサイボーグとネヴァブションが逆転しています。
そこで、今年のメンバーで第一に考えるべきは、昨年の勝ち馬ですが、マキハタサイボーグでしょう。昨年よりアルゼンチンでの着差が広がってしまいましたが、今年のアルゼンチンのレベルは高いので気になりません。
②菊花賞好走馬の取捨 予想1番人気フローテーションをどうするか、ということです。菊花賞で好走した馬は、実はよく人気で負けています。ファストタテヤマ、ホオキパウェーヴ、エーシンダードマンなどです。この3頭に共通するのは、菊花賞での上がりが出走頭数1-3位の追い込み脚質であったことです。京都の3コーナーの坂の頂上から徐々に加速し、トップスピードを長く維持するような末脚の発揮の仕方が合ったのでしょう。ステイヤーズSでは、3コーナーからまくっていけるような、自分で動けるタイプの末脚のほうが好走できます。フローテーションの場合、加速しだしたところでゴール、という場面が目に浮かびます。
少し気になるのが、菊花賞の通過順位12-13-16です。勝ち馬オウケンブルースリがまくったのに対して、直線入口で16番手から追い込んでの1.1/4馬身差。これは自分で動ける末脚があってのものではないのか?う~ん、困りましたね。ただ、フローテーションの好走を予見させてくれた馬に、06年菊花賞で15番人気で6着したインテレットというのがいまして(フローテーションとインテレットの配合がとても近いです)、この馬も菊花賞で直線入口17番手から2番目に速い上がりを繰り出して6着まで追い込みました。菊花賞で追い込んで人気以上の走りをした、という意味では先のファストタテヤマ等と同じ性質の末脚を持っている可能性が高いと思われます。
菊花賞連対馬で買えるのは、デルタブルースのような先行脚質の馬です。したがって、フローテーションは軽視。
③狙える血 ステイヤーズSの過去13年を見渡すとノーザンテースト系(NT)、サドラーズウェルズ系(SW)、ロベルト系(RO系)、ハンプトン系(HP系)の血を父または母父に持つ馬がそれぞれ3勝以上しています。この4つの血のいずれも持たなかったのはダンスイザンザダーク産駒の04年のダイタクバートラムと06年のデルタブルーズです。
今年の出走馬では、NTの血が1と7。SWの血はなし。RO系の血は5,10,12,14,16。HP系の血はなし、です。
7マキハタサイボーグはNT系なので、合格です。
14フローテーション母父RO系ですから、血統条件は調っています。また、SS系×RO系という配合ならば、99年にペインテドブラックが勝っていますので、人気との兼ね合いで軽視したいですが消しではないです。
1メジロコルセアは血統的には狙いたかった1頭ですが、16ヶ月休み明けが割引。10トウカイトリックは当該重賞で2,4着ですが、ピークを過ぎた感じがあり、人気を考慮すれば軽視。
5は初芝、12は距離疑問、と狙える状況ではありません。
16メイショウカチドキの父エリシオの小系統フェアリーキング(FK)は、サドラーズウェルズ(SW)の全兄弟です。16の配合FK×RO系は、SWとROの血を同時に持つとも考えられます。前走はまったく走っていないようで参考外かもしれませんが、04年に当該重賞で人気負けしているのが割引です。
④その他 3ビエンナーレは穴人気しそうですね。ただ、ステイゴールド産駒の代表ドリームジャーニーを見ても、ステイゴールドの重賞馬は優れた瞬発力を武器にします。ちょっと当該重賞を勝てるタイプとは外れるようです。
4エアジパングの父はエルコンドルパサーで中系統ミスタープロスペクター(MP系)です。父母父にサドラーズウェルズ(SW)が入っています。日本の中長距離GⅠで複数の連対馬を出しているMP系は、キングマンボ(KG)とエンドスウィープで、いずれもノーザンダンサー系(ND系)の繁殖にMPが掛け合わされています。キングマンボ産駒のエルコンドルパサーも、SWの繁殖と配合されており、菊花賞馬を出しています。また、衝撃を受けたのがスキャターザゴールド産駒のエリモエクスパイアの天皇賞春2着。スキャターもND系ダンチヒ(DZ)の繁殖にMPが掛けられています。こうして考えると、ND系の繁殖に掛け合わされたMP系種牡馬は、中長距離の重賞で勝負になる産駒を出す可能性があります。当該重賞2着のトウカイトリックと同じ父ですしね。
6トレオウオブキングは血統的にはありだと思います。ハイペリオン(HY)の血が入ったグレイソヴリン系(GS)は、トニービンやタマモクロス産駒のように馬券になっています。人気薄ですし、2,3着があれば。
11ベンチャーナインは、追い込み一手で、当該重賞を勝ちきることはできません。「自分で動ける脚」がポイントになります。
13ナイアガラは、血統的に勝ち馬としての狙いがたちません。
というわけで、初の重賞展望なのに冴えない記事ですみません。まったく本気で馬券を買う気がありません。ただ、試行錯誤の跡を残したかっただけです。
トウショウシロッコが出ないのが本当に残念です。芝2000m前後の重賞で2,3着を繰り返すあの馬は、長距離で一変する可能性を秘めていました(ソングオブウインドのように)。ダンスインザダークやロベルト系(RO系)の馬が勝っているレースですから、スタミナ型ターントゥ系(TT系)の範疇に入るアドマイヤベガなら勝負になったはずです。
◎7マキハタサイボーグ ○なし ▲6トレオウオブキング △4 10 14 16 1
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200812060105 |