展望その1では、ダート重賞の米国型or日本型血統分類をまとめ、今年のダート重賞を振り返りました。
今回はジャパンカップダートはどちらのタイプのレースなのか? その見極めをし注目馬をあげていきます。
まずこのレースはこの条件では昨年1回しか行なわれていないこと、そして阪神ダート1800m重賞が長らく行われていないことがあり、まずはこれが難点ではあります。まあでもがんばって見ていきましょう。何せここが一番肝心ですからね。
その前にそれぞれの分類の代表的な血統をもう一度あげておきます。
1.米国型ダート血統
(
ヴァイスリージェント(VR)系・
ボールドルーラー(BR)系・
ワイルドラッシュ産駒・
ダンチヒ(DZ)系・
フォーティーナイナー(FN)系など)
2.日本型ダート血統
(
ブライアンズタイム(BT)系・
キングマンボ(KG)・
レッドゴッド(RG)系・
母父ネヴァーベンド(NB)系・
母父セントサイモン(ST)系・
母父リアルシャダイなど)
『JCダートは米国型か日本型か!?』
では昨年のレースの結果から考えていきます。
☆ポイント1
メイショウトウコンの激走
人気薄2着で穴を演出しました。当馬は
父ブライアンズタイム(BT)系で、
母母父リアルシャダイです。
この馬の激走や4着
サンライズバッカスの
母父リアルシャダイ、5着
ブルーコンコルドの
母父ブライアンズタイム(BT)からは日本型ダートレースの印象を受けます。
☆ポイント2
サクセスブロッケン・カジノドライヴの人気敗退
この2頭は前回ふれたようにフェブラリーSで揃って好走しました。
サクセスブロッケンは父母父
ボールドルーラー(BR)系の
シンボリクリエス産駒で、母母父が
ヴァイスリージェント(VR)系という血統構成です。
カジノドライブが
ボールドルーラー(BR)系×
ヴァイスリージェント(VR)系です。
この米国型ダート血統の代表のような2頭が、2・3人気で揃って着外だったのが昨年のレースでした。外国馬で
テディ(TD)系×
ボールドルーラー(BR)系の
ティンカップチャリスが5人気で13着に敗退したことからも、米国型には風が吹いていなかったと考えられます。
☆ポイント3
カネヒキリの分類
この馬は
サンデーサイレンス(SS)系×
ヴァイスリージェント(VR)系です。
ヴァイスリージェント(VR)系は完全な米国型ですが、
父SS系が米国要素を薄めている印象もあります。
その証拠にこの馬はどちらのタイプのレースでも大崩れがない馬です(単純に強いということもあります)。今年のフェブラリーSでは米国要素の強い2頭に先着され、昨年のJCダートでは米国系壊滅の中勝利しています。よって米国要素は持つものの、それほどその度合いは強くはないのではないかと思います。
よって
昨年は日本型レースだったと判断します。
ただレースによってはその年毎に日本⇔米国が入れ替わることがあるので、これだけでは今年が必ず日本型になるとは言い切れません。
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昨年の1レースだけでは心許ないので、前回振り返った今年のダート重賞の分類から、阪神ダート1800重賞がどちらのタイプになりやすいかを考えてみます。
1.米国ダート型レース(フェブラリーS・ユニコーンS・レパードS・エルムS)
2.日本ダート型レース(平安S・マーチS・アンタレスS・東海S・シリウスS・武蔵野S)
今年米国ダート型レースに分類された重賞は、すべて東京・新潟で行われています。左回りの1600mから1800mに集中しており、コース形状によるものか砂の質の違いなのかははっきりとはわかりませんが。左回りでアメリカ血統の血が騒ぐのかもしれません。
一方日本ダート型レースは、京都・阪神などの関西圏に多い印象です。
今年JRAのダートは砂厚が9.0cmと深く変更になりました。これによってでしょうか、今までと比べて今年ダートで走る血統に若干変化を感じています。スタミナが問われ、日本型ダート血統が走りやすいレースが増えた印象です。
以上からも
阪神ダート1800mで行なわれる当レースは、今後も日本ダート型レースになるのではないかとみます。
『注目馬と危険馬』
それでは日本ダート型レースという想定で、今年の登録馬をみていきます。
1.米国型ダート血統
ますは軽視する米国型ダート血統の馬をあげていきます。
サクセスブロッケンはここまでにふれたとおり、米国型血統が上位を占めたフェブラリーSでG1制覇し、日本型ダートレースとなった昨年のJCダートと今年の武蔵野Sは沈んでいます。
かなり米国型に特化したタイプで、昨年と同じようなレースなら厳しいでしょう。
スーニは
父ヴァイスリージェント(VR)系で、米国型血統が上位を占めたレパードSで2着しました。同じく今回は適性は低いとみます。
外国馬
ティズウェイは
マッチェム(MC)系×
ダンチヒ(DZ)系です。米国血統で苦しいでしょう。
その他出走出来そうな馬では、
シルクメビウス・ラヴェリータあたりもこのタイプです。
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2.日本型ダート血統
逆に米国型ダート血統が力を出せないときに逆に力を発揮する、日本型ダート血統に該当する馬をあげます。
エスポワールシチー・ダイショウジェット・マイネルアワグラス・マコトスパルビエロ・メイショウトウコン・ワンダーアキュート・ワンダースピード・ヴァーミリアンといったあたりが該当します。
まだかなり多いので、ここから今回のレースに向いた馬を絞っていきます。
ワンダーアキュート・ワンダースピードの兄弟は母系が
セントサイモン(ST)系で埋め尽くされており、シリウスSのように母系に
母父ネヴァーベンド(NB)系・
母父セントサイモン(ST)系といった、
よりスタミナが要求されるタイプの日本型ダートレースに強い印象です。
JCダートはもう少しスピードが要求されるイメージなのでぴったりではないかもしれません。事実兄スピードは昨年結果が出ませんでした。ただ弟アキュートのほうの本格化ぶりは侮れず、有力候補の1頭であることは確かです。
ダイショウジェットも母が
ネヴァーベンド(NB)系×
セントサイモン(ST)系でこの2頭に似たタイプです。
ヴァーミリアンは昨年の3着馬で今年も人気が予想されます。
ただこの
父キングマンボ(KG)系は、
関西圏のダート重賞よりは東京でおこなわれていたころのJCダートやフェブラリーSのほうが強い血統です。当馬以外にも、スターキングマン・アロンダイト・ビッググラスが好走しています。今年も有力ではありますが、アタマまではどうかという印象です。
エスポワールシチー・マコトスパルビエロ・メイショウトウコンは
ブライアンズタイム(BT)系の血を持ったグループです。
メイショウトウコンが昨年激走しました。この
ブライアンズタイム(BT)系は
関西圏(特に京都)の重賞に強く、逆に旧JCダートやフェブラリーSではあまり成績が良くないのが特徴です。同じ日本型血統でも、
東(東京)のキングマンボ(KG)系・西(京都)のブライアンズタイム(BT)系といった具合に棲み分けがなされています。平安Sでタガノゲルニカがヴァーミリアンに勝てるあたりがいい証拠といえます。
阪神のダート重賞はないですが、もともとこのコースは
ブライアンズタイム(BT)系が強いコースです。昨年の5着馬も
母父ブライアンズタイム(BT)のブルーコンコルドでしたし、このレースで最も重要な血統はこの血ではないかとみています。(昨年もここから選んだのですが、ワイルドワンダーというハズレを引いたのは大きな声では言えません)
この3頭はそれぞれ注意で、最も注目なのは人気ですが実績上位の
エスポワールシチーでしょう。
母父ブライアンズタイム(BT)系に
母母父ネヴァーベンド(NB)系で、平安S・マーチSといった日本型レースでしっかり結果を出しています。
そして何より特筆できるのが、今年のフェブラリーS(4着)です。
米国型ダート血統が上位を独占するなか、まったく米国的要素を持たない馬があそこまで粘るというのは凄いことです。その後の3連勝も頷けます。云わばフェブラリーSは相手の土俵での戦い、もし今回見立て通り
ブライアンズタイム(BT)系に適性があるのならば、当馬に勝てる馬はいないのではないかと考えています。