過去に行なわれた【有馬記念】の血統データから血統傾向を見ていきます。
『
父ロベルト(RO)系の天下とその終焉』
『注目血統その1~
ボールドルーラー(BR)系~』
『注目血統その2~
トニービン~』
『注目血統その3~
ノーザンテースト(NT)~』
『
ブエナビスタの不安要素』
過去の有馬記念の血統データ(10年分)

昨年の有馬記念は、◎
エアシェイディが10人気で3着、○
ダイワスカーレットが勝利と、まずまずの成果を残すことができました。2着馬が抜けたのは取り敢えず置いておくとして、今年も同じ考え方で差し支えないと思っています。
ただ基本的に大きく変わるところはないですが、昨年の展望はまだ確信を得ないところもありまとまっていないので、昨年この2頭を推奨した背景も含めてもう一度整理しておきます。
まず具体的に血統を分析する前に、
有馬記念の血統傾向がある時期を境に変わったことにふれる必要があります。
その時期の線引きは最初に行なっておかないと先に進めません。
『
父ロベルト(RO)系の天下とその終焉』
有馬記念は現在、
父サンデーサイレンス(SS)系が5連覇中です。しかし一昔前のこのレースは
SS系が勝てないレースで、01年の
マンハッタンカフェが初勝利でした。
このSS系が勝てなかった、
90年代半ばから後半にかけて他を圧倒したのがブライアンズタイム(BT)を中心とした父ロベルト(RO)系でした。
ナリタブライアン・マヤノトップガン・シルクジャスティス・グラスワンダーで6年間で5勝をあげました。
この
ロベルト(RO)系も
シンボリクリスエスが連覇を果たした03年以降、馬券圏内に入れなくなりました。近年も
ロックドゥカンブ・スクリーンヒーローなどの有力馬が出走しながら、結果が出ませんでした。
自分も
ロックドゥカンブは重視してしまったのですが、昨年の
スクリーンヒーローは時代の終焉を感じ、△に留めました。
今年は
セイウンワンダーが父と母母父にこの血を持つ、
ロベルト(RO)色の強い馬です。前走菊花賞は
母母父リアルシャダイがものを言ったのですが、
有馬記念ではもはや推せる要素とはいえないでしょう。
スリーロールスは
母父ブライアンズタイム(BT)なのでそもそも微妙ですが、評価する要素ではないですね。
この
ロベルト(RO)系の時代が終わった時期がポイントですが、自分は02年までだったのではないかと考えています。
03年以降の有馬記念は血統の勢力図が大きく変わっています。
というわけで参考にするのは03年以降のレースです。
サンデーサイレンス(SS)系が優勢なのは前提として、それに付随する血が取捨選択の大きな要素になります。
この根拠とともに詳しく見ていきたいと思います。
『注目血統その1~
ボールドルーラー(BR)系~』
シンボリクリスエスは
父ロベルト(RO)系で、この時期を挟む02・03年に連覇しています。ただこの2つのレースの意味するものは同じではありません。
03年は前半が速く流れて、当馬は4コーナー手前から仕掛けて突き放すという内容でした。あのように
捲って最後までしっかり持続力のある脚を使えたのは、ロベルト(RO)系というより、当馬の母父に流れる
ボールドルーラー(BR)系によるところと考えます。
07年の覇者、
マツリダゴッホ(
母父BR系)のレースぶりを見ると、この血の特徴がつかみ易いと思います。
この03年を境に有馬記念のレース内容にも変化を感じます。
以前は前半があまり流れないことが多かったのですが、03年以降は前半からペースが速くなることが多くなりました。そして仕掛けのポイントも速まり、長くいい脚を要求されるレースが増えています。
この血統傾向の変化もこれと無関係ではないでしょう。
03年以降この血を主要4系(父・母父・父母父・母母父)に持って好走しているのは、
シンボリクリスエス・タップダンスシチー・ポップロック・マツリダゴッホ・ダイワスカーレット・エアシェイディなど多数います。
今年は、
マイネルキッツ・エアシェイディ・マツリダゴッホ・リーチザクラウンの4頭が該当します。
とくに初出走の
リーチザクラウンは、
サンデーサイレンス(SS)系&ボールドルーラー(BR)系の傾向が出ているレースではしっかり力を出せる馬で、ラジオNIKKEI杯2歳S・きさらぎ賞・ダービー・神戸新聞杯がそうでした。
菊花賞・ジャパンCはこの傾向が出ていないレースのため度外視でき、今回はチャンスありと見ます。
『注目血統その2~
トニービン~』
有馬記念の血統傾向が変わったのと同様に、
皐月賞にも変化が出ていることには以前もふれました。
皐月賞も元来
ブライアンズタイム(BT)産駒が強いレースでしたが、近年は目立った成績を残していません。
ノーリーズンが勝った02年というのも、先述の傾向変化の線引きと符合します。
これに代わって最近目立つのが、
トニービンの血を持った馬です。
ドリームパスポート・ヴィクトリー・フサイチホウオー・キャプテントゥーレなどが好走しています。
ヴィクトリーは
父ブライアンズタイム(BT)ではなく、この血によるものという判断です。
有馬記念でも今まで連対すらできなかったこの血が、03年以降は
リンカーン・ハーツクライ・アドマイヤモナークと好走馬を出すようになりました。
この視点を昨年持っていれば、昨年の
アドマイヤモナークも買えたのかもしれませんが、あれは展開利だと思っています。今年の皐月もそうですが、あれは漁夫の利ではないかと思いたいのですが。
もともと東京の
トニービンと言われるくらいで、中山は不向きとされる血統でした。以前は自分もそう思っていましたし、
サンデーサイレンス(SS)系×
トニービンでも、中山で買う気は起きませんでした。
しかし、
こういった変化が起きているということは、近年の馬場に変化が出ているということだと思います。もちろん毎年細かく変わっていますが、大きな変化が起きたのは03年以降ではないかということです。
今年は
イコピコ・フォゲッタブルがこの血を持ちます。
特に母父に持つ
フォゲッタブルは注目です。
『注目血統その3~
ノーザンテースト(NT)~』
ダイワメジャー・ダイワスカーレット兄妹、
エアシェイディが
サンデーサイレンス(SS)系×
ノーザンテースト(NT)でした。
この配合はラジオNIKKEI杯2歳S展望でもふれたとおり、上記の
サンデーサイレンス(SS)系×ボールドルーラー(BR)系と似た特性を示します。
本来キレに特化した
SS系の中では、持続力のある脚の使えるタイプで、持続力型SS系と分類しています。
つまり昨年の◎
エアシェイディ、○
ダイワスカーレットは
サンデーサイレンス(SS)系に、
ノーザンテースト(NT)と
ボールドルーラー(BR)系を併せ持つことを根拠に、自信の予想でした。
ダイワメジャーが
ダイワスカーレットに先着されたのは、
ボールドルーラー(BR)系の有無によるところもあると思います。
今年は
エアシェイディ・ドリームジャーニー・フォゲッタブルが、
サンデーサイレンス(SS)系で母系に
ノーザンテースト(NT)を持っています。
エアシェイディの配合はベスト配合ですが、昨年走ってしまったのでおいておきます。
面白いのが、母が
トニービン×
ノーザンテースト(NT)の
フォゲッタブルです。母系だけならこの中でも1・2を争うレベルです。
母系だけならと言ったのは、
ダンスインザダーク産駒の有馬記念成績が0-0-0-10というのがあるからです。ただその呪縛を破ってもおかしくない魅力を母系に感じるのも確かです。
『
ブエナビスタの不安要素』
サンデーサイレンス(SS)系の好走を助ける血として、上記3つの血をあげました。
当馬はそれをひとつも有していません。
この3つの血を持つ
サンデーサイレンス(SS)系は、前述のとおり
SS系のなかでは持続力があるタイプです。
問題は当馬がそういうタイプなのかどうかですが、レース振りからもそうではないですね。
格は別として、
ディープインパクトに代表される切れ味抜群な瞬発力型といえます。そのSSの集大成と言える馬が国内で唯一の敗戦を喫したのが有馬記念でした。それを破ったのは、先述の
ハーツクライです。
同じ
サンデーサイレンス(SS)系×
カーリアンの、
シルクフェイマスが好走していますが、これは
父マーベラスサンデーが持続型SS系に分類できるからだと思います。
当馬は持続力が問われるレースの経験が少なく、その要素が少しあった札幌記念でも
サンデーサイレンス(SS)系&
ボールドルーラー(BR)系の
ヤマニンキングリーに敗れています。
前走は展開不利でしたが、あの位置取りから1頭
別次元の脚を使えてしまうのが当馬の強さである反面、有馬記念では諸刃の剣となるのではないかと見ています。
追伸
これを書くのに手間取ってしまい、ラジオNIKKEI賞の予想がこれからです。
深夜か明日朝の更新になると思います。