『持続力に特化した馬』
展望その1で、
サンデーサイレンス(SS)系と
ノーザンテースト(NT)を主要4系(父・母父・父母父・母母父)に併せ持つか否かに注目しました。
展望その2で、
ブエナビスタに隙あり、としました。
最終回の今回は、核心となる注目馬にふれていきます。
展望その1の血統ポイントを満たすのは、
コパノジングーの取り消しにより、
ジャガーメイル・スマートギア・ドリームジャーニー・フォゲッタブルの4頭となりました。
宣言どおりここから本命馬を探っていきますが、このレースにおける適性はもちろんのこと、
ブエナビスタとの比較で先着する可能性を秘めた馬を選ぶ必要があります。
その比較の際に、ブエナビスタにはない持続力、というのが重要なポイントになるかと思います。
・
スマートギア (
マーベラスサンデー×
パドスール)
父サンデーサイレンス(SS)系で、母母父に
ノーザンテースト(NT)を持ちます。
父の
マーベラスサンデーはこのレースの覇者で、産駒のシルクフェイマスもこのレースで6人2着があります。
血統的には、持続力タイプの
サンデーサイレンス(SS)系の代表のような配合といえます。
しかし、この馬のレース振りを見るに、この血統の利点を生かす競馬が出来ていないように感じます。
名は体を表すを地で行くつもりなのかどうかはわかりませんが、この馬が加速(ギア変化)がスマートな馬ならば、もう重賞を勝っているはずです。
後方から行くことで速い上がりを出していますが、それはこの馬の本質とは外れているような気がします。
加えて当馬はあまりいいレース選択をしてもらえていない関係で、今回と似た条件のレースの実績・経験が不足しています。
中山の芝重賞と同様に、こういった特殊な適性に特化したレースというのはリピーターが多く、その経験が必要になりやすいです。
昨年のドリームジャーニーには、その実績・経験が充分でした。
昨年敗れており、今年巻き返せる根拠も見つかりません。
後ろから競馬をして、ブエナビスタを差す場面は想像しづらいです。
思い切って先行したらどうかと思いますが、いきなりそんな競馬をするのは困難でしょう。
適性は大いに感じますが、相手に入れる程度かと思います。
・
ドリームジャーニー (
ステイゴールド×
メジロマックイーン)
父サンデーサイレンス(SS)系で、母母父に
ノーザンテースト(NT)を持ちます。
父の
ステイゴールド自身が同様の配合なので、この血が強調されている馬です。
昨年の勝利は適性面からは順当なもので、このコースも他に朝日CC・大阪杯で重賞勝ちがあります。
血統的にはケチのつけどころがありません。
この馬のことを瞬発力に優れたタイプと見る方もいるかと思いますが、自分はそうは思いません。
事実、瞬発力タイプの
サンデーサイレンス(SS)系が強い、東スポ杯・ダービー・鳴尾記念・天皇賞秋では、ことごとくパフォーマンスを落としています。
この馬は持続力タイプの
サンデーサイレンス(SS)系といえます。
ブエナビスタとの比較ですが、似た方向性を持つ、持続力タイプの
サンデーサイレンス(SS)系が強い有馬記念では、
サンデーサイレンス(SS)系&
ノーザンテースト(NT)の傾向を味方に先着しました。
逆に例年にない瞬発力勝負になった、今年の京都記念では、ブエナビスタのキレに屈しました。
宝塚記念の
サンデーサイレンス(SS)系&
ノーザンテースト(NT)の傾向は、有馬記念での同様の傾向の質を一枚上回ります。
血統適性だけでいえば、ブエナビスタを大きく引き離しているといっても過言ではありません。
不安があるとすれば、アクシデントで予定通りのレースを使えなかったことです。
このレースは開催時期のこともあり、順調に使えてきた馬のほうがいいのは確かです。
加えて、今年の大阪杯で同じ
サンデーサイレンス(SS)系&
ノーザンテースト(NT)を持つゴールデンダリアに、同条件で先着されてしまったことが若干の陰を落としているような気もします。
適性面は疑いようがないものの、昨年の覇者でもあり、本命にはしない予定です。
・
ジャガーメイル (
ジャングルポケット×
サンデーサイレンス)
母が
サンデーサイレンス(SS)×
ノーザンテースト(NT)の配合で、天皇賞春を制した勢いもあります。
この馬のポイントになるのが、
母父サンデーサイレンスの扱い方です。
自分は、
母父サンデーサイレンスは、瞬発力を増強するという考え方をしています。
ただこの馬のように、持続力タイプの血である
サンデーサイレンス(SS)×
ノーザンテースト(NT)を併せ持つ場合、どちらが強く出るのかどうかが難しい点です。
どちらが強く出るかは、遺伝の問題なので、個々の馬ごとに違ってくると思っています。
例えば
リファール(LP)系×
サンデーサイレンスなどは、
リファール(LP)系が強く出るようで、切れるタイプは少ないように感じます。
一方、サクラメガワンダーのように持続力タイプながらも、瞬発力型のレースでもある程度格好をつけてしまうのが、
母父サンデーサイレンスの怖さでもあります。
この馬の場合、東京芝2500mの目黒記念・アルゼンチン共和国杯を走れるということは、持続力がある証拠です。
一方、例年にない瞬発力が問われた、今年の京都記念・天皇賞春にもしっかり対応しています。
前走の天皇賞春は、例年の傾向では
母父サンデーサイレンスが壊滅的な成績で、予想では消しという恥ずかしい見解を示してしまいました。
しかし、それだけ今年がスローペースで、瞬発力が問われる流れだったと言えると思います。
父グレイソヴリン(GS)系については、好走した目黒記念・アルゼンチン共和国杯・京都記念では、この系統に適性がありました。
今回の宝塚記念では、ここ10年連対がありません。
この点は少々不安といえます。
ちょっと扱いが難しい馬です。
ただ昨年、ドリームジャーニーがサクラメガワンダーに先着したように、瞬発力タイプのレースにも対応できる馬より、持続力に特化した馬のほうがこのレースには合っているように思えます。
もちろん高評価の対象ですが、敢えてマイナス面を探すとこのあたりでしょうか。
・
フォゲッタブル (
ダンスインザダーク×
トニービン)
父サンデーサイレンス(SS)系で、母母父に
ノーザンテースト(NT)を持ちます。
サンデーサイレンス(SS)系×
トニービンというと、ハーツクライの2着、リンカーンの3着があります。
この2頭は有馬記念でも好走しましたが、この配合は瞬発力勝負よりは持続力勝負向きです。
加えて当馬は、
ノーザンテースト(NT)を持つ分、それ以上が期待できます。
父が持続力型
サンデーサイレンス(SS)系の典型である、
ダンスインザダークというのも面白いです。
同産駒は
サンデーサイレンス(SS)系の勝利が少ない、秋華賞や安田記念などでピンポイントに走りやすく、宝塚記念でもツルマルボーイが2年連続で2着しています。
同じ菊花賞2着馬で、母母父に
ノーザンテースト(NT)を持つファストタテヤマにも16人5着があります。
ブエナビスタとの比較ですが、有馬記念では5馬身近い差をつけられました。
ただドリームジャーニーのところで述べましたが、今回の
サンデーサイレンス(SS)系&
ノーザンテースト(NT)の傾向は、有馬記念での同様の傾向の質を一枚上回ります。
差は詰まるとみており、ひっくり返るところまでいくかどうかですね。
前走の天皇春は、
ダンスインザダーク産駒の墓場のようなレースで、今年の瞬発力が求められる展開も含めて、最悪の状況下でのレースでした。
度外視することができます。
この馬のように、瞬発力勝負のレースでは脆いくらいのほうが、今回に限ってはいいと思います
スローになると厳しいですが、ロングスパートが決まる持続力が問われる流れならですね。
人気面も考慮すると、一番面白い存在といえますね。